地域環境政策

地域の視点を中心に、被害救済や環境の復元に取り組むための政策課題を学際的に考える。

１．地球温暖化や生物多様性などグローバルな環境問題を解説しながら、この解決に向けた地域における環境政策を提示する。

２．学問的に標準的な知見を示しながら、著者の専門とする領域での積極的な見解を示す。

 

はじめに


　Ⅰ　地域と法

第１章　地球環境問題に対する法政策的対応
　１　環境問題に関する国際的取り組みの経緯
　２　わが国における地球環境問題の捉え方
　３　地球環境問題への国際的・国内的対応
　４　ワシントン条約の締結に関するわが国の政策決定過程
　５　バーゼル条約の締結に関するわが国の政策決定過程
　６　両条約への対応の比較
　７　地球環境問題を学ぶ視点

第２章　地域における公害・環境紛争処理の諸制度の基礎
　１　地域における公害・環境紛争
　２　紛争の一般的な解決手法
　３　公害・環境紛争処理のための諸制度の概観
　４　公害・環境紛争の具体的事例
　５　公害・環境紛争処理の諸制度の課題


　Ⅱ　地域と経済

第３章　地球環境問題と環境経済政策
　１　地球環境問題
　２　グローバル・コモンズとしての地球環境問題
　３　京都メカニズムと経済的手法
　４　気候変動対策としての緩和と適応
　５　今後の気候変動と環境経済政策

第４章　生物多様性の危機と地域政策
　１　生物多様性の危機
　２　生物多様性と生態系，生態系サービス
　３　生物多様性の危機とその対策
　４　生物多様性の経済価値と主流化
　５　地域政策としての生物多様性保全

第５章　ストック政策としての地域再生と地域環境政策
　１　人口動態と地域コミュニティの衰退
　２　地方再生の戦略
　３　地方環境政策の展開
　４　地域再生の事例

第６章　自然エネルギー推進と地域
　１　エネルギー政策の転換と地域資源としての自然エネルギー
　２　自然エネルギー推進策の現状と課題
　３　自然エネルギー大量導入に向けての構造変化
　４　地球資源としての再生可能エネルギー
　　　――小浜温泉エネルギー活用と地域再生


　Ⅲ　地域と生活

第７章　地域における生活環境政策―まちづくり序説
　１　なぜ地域生活環境政策論なのか
　　　――リスクに満ちた暮らしのなかで，幸せをめざすには
　２　増える食糧難民にどう対応すべきか
　３　コミュニティ・ビジネスがつくるサスティナブルなまち
　４　持続可能なまちをめざして―まとめにかえて

第８章　有機廃棄物循環と地域再生
　１　大木町の資源循環の取り組み
　２　社会変換がつくる地域の循環
　３　循環事業の課題と展望


　Ⅳ　地域と社会

第９章　社会問題と地域環境政策
　１　社会問題と公共圏
　２　社会問題と社会運動
　３　保守的な地域における環境運動

第10章　地域環境問題と地域計画
　１　地域計画とは？
　２　戦後の日本における都市空間の変ぼう
　３　「環境の時代」における都市像
　４　コンパクトシティを実現させるための方法
　５　「フロー創出」から「ストック活用」の地域計画へ

第11章　地域と観光――屋久島の現状から考える
　１　地域環境と観光
　２　屋久島におけるエコツーリズム
　３　持続可能な観光としてのエコツーリズムとは

第12章　公害・環境・持続可能な開発――地域参加
　１　公害問題から環境問題へ――価値と科学的不確実性との遭遇
　２　環境問題から持続可能な開発へ――公平性と民主主義との出会い
　３　科学的不確実性，利害関係の多様化そして格差のない公平性
　４　今後の実践のために

第13章　環境政策学と環境倫理
　１　哲学・倫理学と環境政策学とのすれ違い
　２　文学部における倫理学の特異性
　３　応用倫理学とは何か
　４　科学技術社会論から社会技術へ
　５　将来の「環境倫理」

索　引