NGOから見た世界銀行 市民社会と国際機構のはざま
世界最大の開発機関、世界銀行。日本は米国に次ぐ資金提与国、年間300億ドル以上の資金を、開発途上国に融資している。近年その政策やプロジェクトに対して、NGO(非政府組織)が大きな影響力を及ぼしている。両者の「せめぎ合い」の歴史と現状をNGOの第一線で活動する執筆者が明らかにしながら、国際機構と市民社会の関係を分析する。
[ここがポイント]
◎ NGOからの「現場の声」が聞ける。
◎ 国際政治学の立場からも論じ、バランスのとれた良書。
序 章 日本と世界銀行の60年
——借入国として、第2のドナーとして(行天豊雄)
第Ⅰ部 世界銀行とは
第1章 世界銀行——歴史・組織・資金(松本 悟)
第2章 世界銀行とNGO⑴——批判と対話の小史(松本 悟)
第3章 世界銀行とNGO⑵——協働・仲介役・日本のNGO(松本 悟)
第Ⅱ部 ともに活動する
第4章 世界銀行と協働した教育支援
——事業のスケールアップの効果と問題点(新井綾香)
第5章 共同基金による自然環境保全
——市民社会のエンパワーメント(日比保史)
第6章 思春期保健プロジェクト
——世界銀行の無償資金とビデオ制作(吉留 桂・松本 悟)
第Ⅲ部 内から働きかける
第7章 悪影響を回避する政策
——世界銀行の新しい融資形態と環境社会配慮(田辺有輝)
第8章 「貧困」を創り出す開発事業
——ラオスのナムトゥン2水力発電事業(東 智美)
第9章 世界銀行と気候変動分野
——NGOのアドボカシー(清水規子)
第Ⅳ部 外から働きかける
第10章 世界銀行と債務帳消し
——グローバルな市民キャンペーン(藤井大輔・高丸正人)
第11章 世界銀行と平和構築——「介入」の再考(高橋清貴)
終 章 国際関係の中の世界銀行
——理論から見えること(大芝 亮)
索 引