欧米政治外交史 1871~2012
近現代世界を動かしてきた欧米諸国の政治外交史はいかに展開したか。本書では、英米独仏という主要四大国に焦点を当て、国民国家が確立しつつあった19世紀後半から今日に至るまで、外交と内政の関係、国際関係の変化、世界秩序の変遷などを紹介する。各章では、ヒトラーとチェンバレン、レーガンとサッチャーといった、代表的な政治指導者を二人取り上げ、彼らの伝記的事績を軸に分かりやすく叙述する。
[ここがポイント]
◎ 一国史では見えてこない,世界政治のダイナミズムを 明らかにする
◎ ビスマルク,ヒトラー,ドゴール,レーガン……個性あふれる政治家たちが活躍する通史
序 章 近代という時代と欧米諸国(益田 実)
1 近代という時代
2 二つの大戦と欧米世界の政治的経験
3 本書の構成
コラム序-1 近代の国民国家の特徴
コラム序-2 ナショナリズムの起源
第Ⅰ部 近現代世界の形成
第1章 「欧州協調」から帝国主義へ(飯田洋介)
――ビスマルクとグラッドストン
1 ドイツ帝国の成立とウィーン体制の崩壊
2 世界帝国と「未完の国民国家」それぞれの国内再編・統合
3 「現実政治家」と「最もキリスト教的な政治家」の衝突
4 態勢立て直しへ
5 二大巨頭の退場とその後のヨーロッパ
コラム1-1 ディズレーリ
コラム1-2 ヴィルヘルム二世
第2章 新興国アメリカの台頭とパクス・ブリタニカの終焉(高原秀介)
――ウィルソンとロイド=ジョージ
1 新興国アメリカの出現と斜陽期を迎えたバクス・ブリタニカ
2 第一次世界大戦の勃発
――ウィルソンとロイド=ジョージ
3 アメリカの第一次大戦参戦とイギリス
4 パリ講和会議での英米の協調と対立
コラム2-1 セオドア・ローズヴェルト
コラム2-2 アーサー・バルフォア
第3章 戦間期ヨーロッパ世界の危機(益田 実)
――ヒトラーとチェンバレン
1 総力戦がもたらしたもの
――戦間期英独政治の課題
2 相対的安定の政治
――「合法路線」と「安全第一」
3 世界恐慌,国際危機と国内政治体制の激変
4 衝突――ヒトラーの修正外交とチェンバレンの宥和外交
コラム3-1 チェンバレン父子
コラム3-2 ベルリンオリンピック
第Ⅱ部 戦後国際秩序の形成と欧米諸国
第4章 第二次世界大戦と国際・国内社会の変容(水本義彦)
――チャーチルとローズヴェルト
1 チャーチルとローズヴェルト
2 戦時動員と英米パートナーシップの形成
3 戦時外交と戦後秩序構想
4 終戦と戦後の国内情勢
5 大同盟の崩壊
コラム4-1 「小さくて哀れなイギリス・ロバ」
コラム4-2 ポーランドの悲劇
第5章 「アメリカの世紀」と米欧関係(倉科一希)
――アイゼンハワーとアデナウアー
1 アイゼンハワーとアデナウアー,その思想と経歴
2 冷戦の勃発と西ドイツの成立
3 「二重の封じ込め」とアイゼンハワー政権
4 冷戦の新たな展開と同盟関係
5 アイゼンハワーとアデナウアーの遺産
コラム5-1 ジャン・モネ
コラム5-2 スターリンとドイツ問題
第6章 脱植民地化と大西洋同盟の動揺(小川浩之)
――ドゴールとマクミラン
1 脱植民地化と国内政治の変動
2 経済近代化と欧州統合へのアプローチ
3 大西洋同盟をめぐる相克
コラム6-1 旧植民地からの移民
コラム6-2 ジョン・F・ケネディ
第7章 抵抗の季節のリベラルな政治(齋藤嘉臣)
――ジョンソンとウィルソン
1 ジョンソン,ウィルソンとその時代
2 抵抗の季節の国内政治
3 世界的影響力の低下と英米の指導者
4 ヨーロッパへの道と大西洋同盟の変容
5 その後の両指導者
コラム7-1 音楽家たちの政治の季節
コラム7-2 ウィルソンと陰謀論
第Ⅲ部 グローバル化する世界の中の欧米諸国
第8章 デタントと動揺する欧米世界(妹尾哲志)
――ニクソンとプラント
1 ニクソン政権の成立と「交渉の時代」
2 ブラントの東方政策とデタントの進展
3 国際通貨体制の変動と石油危機
――米欧関係再編の試み
4 ブラントとニクソンの退陣
コラム8-1 跪いたブラントと「過去の克服」
コラム8-2 キッシンジャーとバール
第9章 保守主義者の「革命」?(青野利彦)
――レーガンとサッチャー
1 ロナルド・レーガン
2 マーガッレト・サッチャー
3 レーガンとサッチャーの国内政策
4 レーガンとサッチャーの外交政策
5 「レーガン革命」と「サッチャー革命」の時代
コラム9-1 ゴルバチョフと「新思考外交」
コラム9-2 なにが冷戦を終わらせたのか
第10章 ドイツ統一とヨーロッパ再編(芝崎祐典)
――ミッテランとコール
1 西ドイツとフランスの国内政治
2 西ドイツとフランスの対外政策
3 ヨーロッパ国際秩序の激変
4 冷戦後
コラム10-1 ゲンシャー
コラム10-2 ドロール
終 章 21世紀の欧米世界(小川浩之)
――G・W・ブッシュとブレア
1 現代政治の潮流
2 冷戦後の外交問題
3 欧米世界の変容
コラム終-1 イギリス王室とアメリカ大統領
コラム終-2 イラク戦争と「米欧対立」
あとがき
関連年表
人名・事項索引