象徴・神話・文化
新カント派から出発し、晩年、亡命先の米国で『国家の神話』等を書いて独自の文化哲学を築いたカッシーラー未公刊の講義と論文集。ナチズムとの思想的対決によって切り拓かれた独創的な思想が明快に表現されている。本書の諸論文は彼の哲学において決定的な諸問題――文化哲学、真理論、正義論、因果性の問題、道徳と芸術との関係、群の概念と知覚の理論等々――を簡明に語り自らの立場を明らかにしている。(原書: Donald Phillip Verene (ed.), Symbol, Myth, and Culture : Essays and Lectures of Ernst Cassirer 1935-1945, Yale University, 1979.)
序章
Ⅰ 文化の哲学
1 哲学的問題としての哲学の概念(1935年)
2 文化の哲学としての批判的観念論(1936年)
Ⅱ 歴史哲学
3 デカルト、ライプニッツ、ヴィコ(1941—42年)
4 ヘーゲルの国家論(1942年)
5 歴史哲学(1942年)
Ⅲ 言語と芸術
6 言語と芸術(1)(1942年)
7 言語と芸術(2)(1942年)
8 芸術を教育することの価値(1943年)
Ⅳ 国家の神話
9 哲学と政治(1944年)
10 ユダヤ教と現代の政治的神話(1944年)
11 われわれの現代の政治的神話の技術(1945年)
Ⅴ 認識と知覚
12 群の概念と知覚の理論についての考察(1945年)
補遺——カッシーラーの遺稿についての説明
訳者あとがき
人名索引