発達137 特集 “発達障害”を問い直す
“発達障害”という名が広く認知されるなかで、制度などの枠組みができ、時代のニーズ等によって現在までさまざまな対応がなされてきました。アセスメントの改訂などが注目される昨今、「あらためて“発達障害”とは何なのか」「診断を受けることはどのような意味をもつのか」「その子どもや家族を支える営みとは」といった点を問い直し、“発達障害”の本質的な部分における議論を通じて今後の可能性について考えます。
[ここがポイント]
・発達障害児・者と最前線でかかわる執筆陣が、あらためて発達障害の意味を問う。
・医師、保健師、保育士、臨床心理士などさまざまな視点から発達障害の診断における意味や発達障害児を支える営みについて多角的に再考する。
Ⅰ “発達障害”とは何か
総論 生活障害としての発達障害(田中康雄)
保護者の思いに寄り添い、家族としての決断や選択を待つ――保健師として心がけていること(大下彩子)
「今、ここを、ともに」生きる視点から発達障害を見つめ直す(岸井謙児)
保育現場から考えること(中村孝博)
診断・医療情報がもつ意味と価値――学校現場の視点から(市野孝雄)
発達障害を楽しむ――保護者であり支援者である立場から(鈴木慶太)
Ⅱ 発達障害児とその家族を支える営みとは
「接面」の観点から発達障碍を再考する(鯨岡 峻)
「ここなら あったかいよ」――子どもと保護者と保育者と共に暮らしを紡ぐ(和仁正子)
自閉症児と母親、その固有の生を肯定するあり方を求めて(山崎徳子)
「家族」と「当事者」の視点を重視した支援――発達障害をもつ学生の事例をもとに(渡部千世子)
てんかんと発達障碍を併せもつ息子を育てる過程で遭遇した数々の困難とこれから(頼 小紅)
【連載】
保育に活かせる文献案内
〈連載4〉保育における美術表現指導(汐見稔幸)
ことばとコミュニケーションを科学する
〈連載4〉ロボットからみた子どもの性格(玉川大学赤ちゃんラボ)
人との関係に問題をもつ子どもたち
〈連載79〉〈ここのいま〉を超えた視点の移動ができるようになるまで(《発達臨床》研究会)
霊長類の比較発達心理学
〈連載116〉チンパンジー研究者、母になる――ヒトの生後六カ月から九カ月までの発達(林 美里)
障がいのある子の保育・教育のための教養講座――実践障がい学試論【障がい文化編】
〈連載7〉世界が「相貌・表情」を帯びる(佐藤 曉)
育つということ――発達臨床のフィールドから
〈連載16〉不適切な養育環境と子どもの育ち その1 養育環境の安定性(山上雅子)
【発達読書室】
著者が語る『脳科学からみる子どもの心の育ち――認知発達のルーツをさぐる』(乾 敏郎)
書籍紹介