日本の教育文化史を学ぶ 時代・生活・学校
こんにち、教育に関する議論が盛んである。しかし、このことを歴史的に考えてみると、実は同じようなことは昔から議論されていたことがわかる。とはいえ、課題は新たに生まれ続け、それに過去の経験を単純に当てはめるだけでは、解決困難なことも確かである。では、歴史を学ぶ意義とは何か。本書では、さまざまな時代背景から生まれてきた教育文化を描き出す。それによって、現在議論されている問題について、かつての問題とどこが一緒で、どこが異なるのか重層的に理解することが可能になるはずである。戦後教育史にも大胆に切り込んだ教育文化史テキストの決定版、ついに刊行。
[ここがポイント]
◎ 戦後・現代の教育事情が充実している
◎ 世代論・文化史的切り口から教育史を描く
序 章 教育史を学ぶということ
1 「歴史」とは何か
2 「歴史」のつくり方
3 教育史からみえるもの
第1章 伝統社会における子ども(子ども観)と教育
1 日本における伝統的な子ども観としつけ,子殺し
2 家における教育
第2章 近世江戸時代における学びの場(学校)(~1870年)
1 江戸時代における学びの場
2 「近代」との接点
第3章 近代化の中の教育(1870~1900年)
1 身分変換装置としての学校
2 欧化と日本人――抵抗と受容
3 近代化装置としての学校
第4章 国際化の中の教育(1900~1920年)
1 異文化の受容・伝統文化の発信
2 教育機会の整備と多様化
3 国民意識の養成
第5章 大衆化の中の教育(1920~1930年)
1 「群衆」から「大衆」へ
2 大衆文化と「日本人」の形成――大衆雑誌の展開
3 情報化社会の幕開け――ラジオの登場
4 学校教育の展開――「教育家族」と「大正自由教育」
5 大衆の国民化へ――郷土への着目と国民教育
第6章 総力戦体制の中の教育(1930~1945年)
1 総力戦体制と学校制度の改革
2 学校の儀式・学校行事と教育文化
3 戦時教育体制と学校教育の崩壊
4 教育と教育学の「戦争責任」
第7章 「復興」と「模索」の中の教育(1945~1960年)
1 敗戦と「占領」の中の教育
2 戦後教育改革の模索と子ども文化
3 教育の政治的対立と経済的復興
第8章 「豊かさ」の中の教育(1960~1975年)
1 経済成長と教育
2 教育機会の拡大
3 「豊かさ」の中で変貌する生活と教育
4 国民を惹き付けるテレビ
第9章 「自由化・多様化」の中の教育(1975~2000年)
1 「良い学校―良い仕事―豊かな生活」という物語
2 「教育荒廃」・「学校病理」現象の出現
3 「自由」と「個性尊重」の教育
第10章 「グローバル社会」の中の教育(2000年~)
1 インターネット時代の子どもと教育
2 「グローバル化」と格差社会の中の教育
3 「東日本大震災」が浮き彫りにしたもの
――不信と絆の間で
資料編
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