大人が子どもにおくりとどける 40の物語 自己形成のためのレッスン
ブルーナの絵本世界からドストエフスキーの小説世界まで、40の物語を読みときながら、成長していく人間の物語世界の自己組織化のダイナミズムを捉えようという、無謀とも思える知的冒険! 一読すれば、大人は子どもがどのような物語に出会うかに無関心ではいられないだろう。
[ここがポイント]
◎ 子どもと大人が出会う場所になる物語を40厳選。
◎ 1物語(作品)=6頁で構成。
◎ 現職の教師、学校司書、司書教諭、学生や子どもに関わる人すべて、さらに書店員、図書館司書、作家等読書愛好家に読んでほしい一冊。
◎ ブックガイドのようにどこからでも読め、最初から通読すると、人間の成長というひとつの物語として読むことができる。
――物語を生きる人間
Ⅰ 遊びと幸せ――幼児の世界
『ちいさなうさこちゃん』――赤ちゃんがウサギと出会う最初の本
『ぐりとぐら』――毎日が楽しくて
『とんとん とめてくださいな 』――四季を幸せに生きる
『もりのなか』――あちらの世界へ行く歓び
『はらぺこあおむし』――世界の外に向けてうがたれた穴へ
Ⅱ 驚きと歓喜――世界の外に触れる幼児
『まど・みちお全詩集』――世界への驚嘆を共有する
『てぶくろ』――歓待を生きる
『ことばあそびうた』――意味を破壊する言葉遊びの喜び
『森のなかへ』――絵遊びによるノンセンス
『くまの子ウーフ』――子どもは自分と世界を問う
Ⅲ 動物の友愛・動物との友愛――子どもを生きる
『エルマーのぼうけん』――竜を救う9歳の冒険者
『タイキルとジョッコ』――子どもと動物とのユートピア
『たのしい川べ』――動物の友愛に満ちた共同体
『たのしいムーミン一家』――自由と冒険のコミューン
『冒険者たち』――友情が支える勇気
Ⅳ 冒険と秘密――一人前の子どもを楽しむ
『トム・ソーヤーの冒険』――冒険は楽しい
『クローディアの秘密』――秘密も楽しい
『ロビンソン・クルーソー』――生きのびるためにはなにが必要か
『不思議の国のアリスの冒険』――ノンセンス! ノンセンス! ノンセンス!
『はてしない物語』――ファンタジーの世界を生きる
Ⅴ 出会いと別れ――子どもと大人の狭間
『幸福な王子』――純粋贈与の向こう側
『人魚姫』――人に思いをとどけることの覚悟
『ごん狐』――宙に浮いた感情のやり場を考える
『グリーン・ノウのお客さま』――歓待と癒しと冒険と
『トムは真夜中の庭で』――人生の不思議に触れる
Ⅵ 日々の生活と向かいあう――生きる子ども
『赤毛のアン』――子どもの空想力と想像力のもたらすもの
『アンネの日記 完全版』――書くことの力
『ぼんぼん』――歴史のなかを生きるとはどのようなことか
『子鹿物語』――生きるなかでの動物の殺害
『更級日記』――自分の人生を物語る(書くことの力2)
Ⅶ 未知なる世界と探究する勇気――思春期の冒険
『ファーブル昆虫記』――ミクロな虫世界へのダイヴィング
『シャーロック・ホームズの冒険』――謎解きのもたらすもの
『人間の土地』――飛行機乗りが語る勇気の物語
『銀河鉄道の夜』――ほんとうの幸せを求める旅の記録
『デミアン』――未知なるわが魂の遍歴
Ⅷ 私とは何ものか・世界とは何か――青年の問い
『こころ』――魂の先生に出会う物語
『嵐が丘』――深い感情の力に驚嘆する
『海辺のカフカ』――物語の力に身をゆだねる
『人質の朗読会』――かけがえのない人生の物語を朗読する
『罪と罰』――突然、人生に新たな意味が生起する
エピローグ 物語の宇宙をつくる
――物語世界のつなぎ方
註
参考文献
あとがき