福祉工学への招待 ヒトの潜在能力を生かすモノづくり
人々の快適な暮らしのため工学にできることは何か――失われた感覚や身体機能をテクノロジーで支援する「福祉工学」のパイオニアがその多彩な研究を紹介。「物まね鳥」や「気配」のナゾ解きなど身近な科学から、ヒトの潜在能力を引き出すモノ作り、超高齢社会に必要なグランドデザインを構想する国家プロジェクトまで、魅力的な研究エピソードとともに福祉工学の可能性を指し示す。
[ここがポイント]
◎ 「福祉工学は面白い!」 NHK緊急地震速報のチャイム音を作ったことで知られる研究者がコウモリ,インコ,腹話術,麻雀パイなどを使ったユニークなアプローチで人間の脳や感覚に秘められた謎へ迫る。
◎ 障害をもつ当事者の潜在能力を探りそれを支援機器の開発に生かす,「福祉工学」の醍醐味を伝える多彩なエピソード群。
第一章 福祉工学への道
1 価値観の変容
2 福祉工学への船出
3 地震速報チャイムは鳴る
4 「盲パイ」研究から生まれたもの
第二章 「聴く」を助ける
1 「指で聴く」研究
2 指で見る「夢」
3 音声タイプライタの開発秘話
4 人工内耳の夜明け前
第三章 「話す」を助ける
1 「トリだよ」と名乗ったインコの話
2 ヒトの耳をだます物まね鳥たち
3 「ヒゲの殿下」と人工喉頭
4 腹話術のナゾ解きから生まれたモノ
〈閑話1〉 文字を持たなかったアイヌ民族秘話
〈閑話2〉 蠟管音声の再生物語
第四章 「見る」を助ける
1 ある全盲研究者の「速聴」の話
2 「コウモリ」になり切ってみて
3 「気配」の正体
4 「人工の目」が見る夢
第五章 バーチャルリアリティとロボットを生かす
1 3Dテレビの苦悩
2 「バーチャルリアリティ」は限りなく広がる
3 掃除ロボット「ヤン坊」の働きぶり
4 トイレロボットへの期待
第六章 高齢社会のパラダイムシフト
1 高齢社会の「桃源郷」を作る
2 高齢社会を豊かにする福祉工学プロジェクト
3 「労働」を助け、「行動範囲」を広げる
4 「物忘れ」を防ぎ、「社会参加」を促す
5 福祉工学の本丸──脳の深部に迫る
おわりに
参考文献
索 引