政治はどこまで社会保障を変えられるのか 政権交代でわかった政策決定の舞台裏
果たして政治で福祉を変えることはできたのか。大学時代のボランティア体験を機に「福祉をよくしたい」を胸に国会議員になった著者が、政権交代で与党として厚労省の中枢に入った。そこで知ったのは、野党時代には見えなかった社会保障政策の決定過程だった。経験してわかった財源の厚い壁と理想との折り合い、そしてそれでも政治で福祉を変えていく著者のこれから。
[ここがポイント]
◎ 社会保障関連の政策の決定過程がわかる
◎ 現役国会議員が書き下ろす政治と福祉の関係
◎ 社会保障政策決定時における厚生労働省内の動きがわかる
第Ⅰ部 政治で変えられたこと、変えられなかったこと
第1章 最も政治の力を必要とする人々は、最も政治から遠いところにいる
1 「消えた年金」問題の発覚
2 長妻厚生労働大臣から政務官就任の要請
──180度立場が変わり、厚生労働省と共に戦うことに
3 最初のマニフェスト実現
──「母子加算復活」のため、総理官邸に直談判
4 障害者サービス無料化への戦い
── 障害者自立支援法の廃止に向けて
5 父子家庭への児童扶養手当の創設
── 「高校に行っていいよ」に涙する中学三年生
6 「子ども手当」の意義と限界
──中学生まで拡大するも2万6000円は断念
7 両親のいない子どもや虐待された子どもへの手当の創設
──児童養護施設の子どもの涙
8 史上初「子どもの貧国率の公表」──役所の抵抗
9 生活福祉資金貸し付けの拡充
──高校中退やむなしの生徒が無事、卒業
第2章 厚い財源の壁と戦う
1 無保険の子どもの救済──貧困家庭の子どもたちに医療を
2 悲願の10年ぶりの診療報酬引き上げ──財務省との激突
3 「消えた年金」被害者の救済
──政権交代後189万人、6000億円の年金が回復
4 介護職員、障害福祉職員の賃金引き上げ
──議員立法「介護従事者処遇改善法」がきっかけ
5 肝炎の戦い
──薬害C型肝炎、予防接種B型肝炎の和解と医療費助成
6 非正規雇用を減らし、正社員を増やしたい
──求職者支援法の創設、労働者派遣法や労働契約法の改正
7 安倍政権の「残業代ゼロ」「解雇の金銭解決」「限定正社員」
──政権交代で労働政策が180度、真逆に
8 財源確保の戦い─ ムダや天下りのカット
9 史上最大、社会保障予算が16%増
──公共事業費は32%カット「コンクリートへの投資から人への投資へ」
10 自殺に追い込まれる人を減らす
第3章 変えられなかったこと
1 十分に実現できなかったこと
──子ども手当、「後期高齢者医療制度」廃止、年金の抜本改革 ねじれ国会と財源の壁
2 消費税増税の決断─苦渋の決断。だが大きな代償
第4章 2014年の国会で、私が取り組んだこと
1 過労死防止法の成立
2 強行採決された「医療・介護総合推進法」の問題点
3 介護・障害福祉従事者処遇改善法の成立
第Ⅱ部 政治で社会保障を変える
第5章 私が政治を志した原点
1 「社会のぞうきんになって、社会をきれいにする生き方をせよ」
2 寝たきりだった祖母
第6章 命を救う政治
1 自殺に追い込まれる人を減らしたい
2 「世界一、人を大切にする国・日本」にしたい
あとがき
コラム
1 30年ぶりの児童養護施設の人員配置基準引き上げ
──学生時代からの悲願実現
2 子ども貧困対策法の成立
── 「あしなが育英会」の悲願
3 二度目の診療報酬引き上げ
──0.004%アップの舞台裏
4 がん対策基本法
──がん対策予算が増え、がんによる死亡者が減少