戦後日本のアジア外交
戦後日本はアジアとどのような関係を築いてきたのか。大東亜共栄圏を唱えて世界大戦に敗れた日本は、戦後にはアメリカの影響を受けつつも独自のアジア外交を模索し、今日のアジアの繁栄実現に大きな役割を果たしてきた。本書は、戦前の歩みから戦争賠償、福田ドクトリン、東アジア共同体構想など、近年に至るまでの日本のアジアに対する関与の軌跡を多面的に明らかにする本格的な通史である。
[ここがポイント]
◎ 日本とアジアはいかにして戦後の発展を成し遂げたのか。
◎ 戦後日本とアジアの政治経済関係を概観する、初めての本格的通史。
序 章 戦後日本とアジア(宮城大蔵)
第1章 近代日本とアジア(加藤聖文)
──大日本帝国の時代
1 明治国家の形成と国境画定
2 日清戦争と東アジア冊封体制の崩壊
3 韓国併合と植民地帝国日本の完成
4 混乱する中国情勢とワシントン体制
5 満洲事変の衝撃と大日本帝国の膨張
6 大日本帝国の崩壊とアジアの戦後
7 戦後日本における歴史の断絶
コラム1 日本型近代化モデルの成功とアジアへの影響
第2章 サンフランシスコ講和とアジア(楠 綾子)
──1945〜52年
1 アジア諸国にとっての日本占領
2 日本の講和構想の中のアジア
3 対日講和条約・日米安全保障条約の成立
4 サンフランシスコ講和体制
コラム2 カルロス・P・ロムロ──フィリピンの屈折した感情
第3章 「ナショナリズムの時代」のアジアと日本(宮城大蔵)
──1950年代
1 アジアをめぐる諸構想
2 バンドン会議と日本の選択
3 戦争賠償と東南アジアへの再進出
4 「アジアの一員」として
5 近くて遠い、中国、韓国
コラム3 スカルノ──「独立」の達成と日本
第4章 アジア冷戦の分水嶺(井上正也)
──1960年代
1 東アジア外交の展開
2 東南アジアにおける日本外交
3 ベトナム戦争とアジア
4 日本の地域的責任と沖縄返還交渉
5 米中接近と「二つの中国」
コラム4 朴正煕──開発政治と日本
第5章 冷戦構造の流動化と日本の模索(若月秀和)
──1970年代
1 東西冷戦対立の緩和と日本外交の多角化
2 ベトナム戦争終結と過渡期の日本外交
3 1970年代アジア外交の帰着点
4 米ソ新冷戦の余波と「アジア太平洋地域」の萌芽
コラム5 鄧小平──日本の「全方位外交」との接点
第6章 「経済大国」日本とアジア(佐藤 晋)
──1980年代
1 1980年代初頭のアジア外交
2 「米中日同盟」の発足?
3 中曽根のアジア外交
4 「プラザ合意」後の経済関係
5 グローバル化・冷戦の「勝利」・大国日本
コラム6 趙紫陽──改革開放の担い手
第7章 「吉田ドクトリン」を超えて(大庭三枝)
──1990年代
1 1990年代の対アジア外交の出発点
2 北東アジアの緊張と日本
3 広域地域主義の浮上と日本
4 緊張の中での新たな役割模索
5 東アジアとの関係緊密化へ向けて
コラム7 マハティール・ビン・モハマド──民族主義と現実主義を体現するカリスマ
終 章 21世紀のアジアと日本(宮城大蔵)
──2000年代〜
1 小泉純一郎政権とアジア
2 中国台頭と揺れる日本外交
3 民主党政権の登場
4 21世紀の日本とアジア
関連年表(池宮城陽子)
事項索引
人名索引