ポスト・ロールズの正義論 ポッゲ・セン・ヌスバウム
ナショナルな正義を提唱したロールズの理論から洞察をはじめ、現在グローバル化の時代のなかで、国境を越え整合する社会正義を追う。ロールズに始まり、セン、ポッゲ、ヌスバウムと続く、コスモポリタニズム、ケイパビリティ・アプローチと思想的なつらなりのなかで、グローバル正義の実現の可能性を問う。
[ここがポイント]
◎ ロールズ、ポッゲ、セン、ヌスバウムなど正義論の系譜が一冊で分かる。
◎ グローバル化のなかでの社会正義は可能なのかを問う。
第Ⅰ部 「国内社会」から「地球社会」へ
第1章 ロールズ『正義論』の意義と拡張可能性
1 ロールズ正義論の影響力
2 個人の不可侵性と自然権
3 道徳理論としての〈公正としての正義〉
4 構想の安定性と「心の清廉潔白」
5 意義、そして拡張可能性
第2章 ロールズ『諸人民の法』とその限界
1 国境を越える空間における正義
2 「現実主義的なユートピア」──人権の尊重と援助義務
3 リベラルな国際秩序形成
4 問題点とその検討
5 コスモポリタン的観点の取り入れ
第Ⅱ部 「資源」から「ケイパビリティ」へ
第3章 コスモポリタニズムからの批判──ポッゲの資源主義
1 正義論のポスト・ロールズ的展開の一潮流
2 コスモポリタン的観点
3 コスモポリタニズムと正義論
4 ポッゲの資源主義
5 資源からケイパビリティへ
第4章 ケイパビリティ・アプローチからの批判⑴──センの経済哲学
1 福利の情報的基礎の拡張
2 評価基準としてのケイパビリティ
3 ケイパビリティ・アプローチの利点
4 「基本的ケイパビリティ」をめぐる問題
5 ケイパビリティ・アプローチの正義構想に向けて
第Ⅲ部 「契約論」から「ケイパビリティ・アプローチ」へ
第5章 ケイパビリティ・アプローチからの批判⑵──ヌスバウムの政治哲学
1 もうひとつのケイパビリティ・アプローチ
2 新アリストテレス派のアプローチ
3 〈中心的ケイパビリティ〉のリスト
4 リストの普遍的妥当性
5 グローバル正義論の展開に向けて
第6章 センとヌスバウムのグローバル正義論──ポスト・ロールズの地平
1 ロールズの限界の先にあるもの
2 センのグローバル正義論
3 ヌスバウムのグローバル正義論
4 三つの基本理念
5 ひとつの到達点
終 章 理論から実践へ
参考文献
あとがき
索 引