現代日本ハウジング史 1914〜2006
本書は、わが国の現代史のなかで展開した、「マスハウジング・システム」の生成から発展、成熟から瓦解に至る過程について、1914年から2000年はじめにかけての100年分を、いわゆる通史でなく、時代の画期をなす事象を取り上げた「史的研究」として論述する。日本の住宅学の礎である西山卯三の門下であり、「居住地計画論」、「住宅政策論」、「住様式論」という順序で研究を進めてきた著者の集大成となる一冊。
[ここがポイント]
◎ わが国の100年にわたる住宅政策、住宅問題が俯瞰できる
◎ ハウジング・システムの歴史を事象を通じて整理している
1 テーマと時期区分
2 ハウジング・システムの組成
3 工業化社会とマスハウジングの展開
4 ポスト工業社会とハウジング・システムの転回
5 本書の構成
第1章 第一次世界大戦期における住宅政策の誕生
1 欧州におけるハウジング概念の誕生
2 わが国における住宅問題の顕在化
3 住宅政策の登場
4 関一のハウジング思想
第2章 戦間期におけるモデル・ハウジングの展開
1 関東大震災の復興事業
2 同潤会のアパートメント供給事業
3 不良住宅地区改良事業の展開
4 「中流住宅」をめぐる住宅改革
5 郊外住宅地の展開
第3章 総力戦とマスハウジングの生成
1 戦時体制と住宅問題の顕在化
2 総力戦下の住宅政策と住宅市場統制
3 総力戦下における住宅営団の事業展開
4 西山夘三とマスハウジング理論の創始
第4章 応急復興のハウジング
1 焦土のなかの住まい
2 占領下における応急住宅政策の展開
3 恒久住宅政策への足掛かり
4 集合住宅団地像の生成
第5章 高度経済成長とマスハウジングの黄金期
1 大都市圏への人口集中と居住地階層構成
2 マスハウジング・システムの生成と展開
3 モダンリビングとLDK型住宅の形成過程
4 ニュータウン計画の光と影
第6章 1970年代におけるマスハウジングの軌道修正
1 工業化社会からポスト工業化社会へ
2 「住宅建設計画」と住宅基準
3 住宅供給と需要者参加
4 居住環境整備事業の展開
5 自治体住宅政策の生成
第7章 1980年代における持家社会の完成
1 経済大国化と持家社会化
2 プレハブ住宅の隆盛とパッケージ・サバーブ
3 マンションの商品性のもとで
4 住宅と住文化の地方性
5 参加と共生のハウジング
6 HOPE計画から住宅マスタープランへ
7 オープンビルディング思想の展開
第8章 世紀末におけるマスハウジングの瓦解
1 住宅バブルの崩壊と阪神・淡路大震災
2 家族構造と住居状態の大変化
3 住宅政策の「55年体制」の終焉
終 章 ハウジング・システムの行方
1 マスハウジングの問題性
2 人口縮減時代におけるマスハウジングの方向転換
3 マルチハウジングへの道
現代ハウジング史年表(1914~2006年)
あとがき――ハウジング研究をふり返って
人名索引/事項索引