乳幼児期のことばの発達とその遅れ 保育・発達を学ぶ人のための基礎知識
本書は、保育や発達について学んでいる学生や保育者、発達の遅れ、とくにことばの発達に障がいをもつ子どもの教育、療育、治療にあたっている人々等に役立ててもらうために、子どものことばの発達に関する基礎知識や支援のあり方を、わかりやすく解説する。第Ⅰ部では、子どものことばの発達過程やその評価方法等について概説する。第Ⅱ部では、豊かなことばをはぐくむ保育についての研究成果や実践を紹介する。第Ⅲ部では、ことばの発達の遅れとその支援について論じる。
[ここがポイント]
◎ 保育に役立つ、ことばの発達の基礎知識と支援の実際を1冊で学ぶことができる。
◎ 保育内容「言葉」等の教科書・参考書としても役立つ
第I部 ことばの発達についての基礎知識
第1章 ことばとは何か?
――ことばの役割・領域・獲得理論
1 ことばの特徴
2 ことばの役割
3 ことばの領域
4 ことばの獲得の理論
5 ことばの発達には人からの働きかけが必須!
――ルーマニアの孤児研究から
第2章 ことばの発達の準備期(前言語期)
1 赤ちゃんは音声を区別して聞いているか?
――音声知覚の発達
2 赤ちゃんが発する音声――音声表出の発達
3 赤ちゃんはことばがでる前に養育者とどんなやりとりを
しているか?――コミュニケーション能力の発達
4 赤ちゃんがことばを発するために必要な能力
――ことばの獲得の認知的基盤
第3章 ことばの発達の道筋
1 語の獲得の道筋
2 文法の発達の道筋
3 ことばを場面や人に合わせて使えるようになる――語用の発達
4 ことばの発達における個人差
第4章 養育者はどんな語りかけをしているか?
1 育児語とは?
2 養育者の語りかけはことばの発達へ影響するか?
3 養育者の語りかけは文化により違っているか?
第5章 文字の読みや書き(書きことば)の発達
1 文字が読めるようになるにはどんな能力が必要か?
――メタ言語能力の発達
2 いつごろに文字を読めるようになるか?
3 いつごろに文字を書けるようになるか?
4 一次的ことばと二次的ことば
第6章 ことばの発達を評価する方法
1 どのようなポイントをどのように評価するか?
2 ことばの発達や遅れを評価する方法
第Ⅱ部 保育所・幼稚園における支援
第7章 豊かなことばをはぐくむ保育活動
1 幼稚園教育要領,保育所保育指針にみる「言葉」領域
2 3歳未満児への豊かなことばをはぐくむ保育内容
3 保育の質とことばの発達
第8章 豊かなことばをはぐくむ保育実践――事例をとおして学ぶ
1 0歳児のコミュニケーションを豊かにする実践
2 保育の中ではぐくまれることばの発達の基礎能力
3 豊かなことばをはぐくむ実践
第Ⅲ部 ことばの発達の遅れと支援
第9章 ことばの発達支援における基本的視点
1 ことばの発達の基盤
2 行為の論理から思考の論理への移行
3 会話・対話の問題
第10章 発達障がいの子どものことばの問題
1 自閉スペクトラム症におけることばの問題
2 ADHD(注意欠如・多動症)におけることばの問題
3 特異的言語発達障がい(SLI)におけることばの問題
第11章 ことばの遅れがある子どもへの支援
1 ことばの遅れがある子どもへの支援の実際
2 言語発達支援における発達論的アプローチ
おわりに/引用・参考文献/索引