集団就職とは何であったか 〈金の卵〉の時空間
集団就職は若年労働力移動のための国家的プロジェクトであり、高度経済成長期の労働力需給調整や労働力移動の制度化においては中心的な位置を占めた。本書は、残された少ない資料から集団就職の実態を詳細に追い、埋もれた歴史の断面に光をあてる労作。
[ここがポイント]
◎ 資料の少ない集団就職を包括的に検討する
◎ 労働力移動と労働市場の拡大および変化を実証的にとらえる
第Ⅰ部 ナショナル労働市場という夢と集団就職制度
第1章 労働市場の運動と集団就職の諸制度
1 はじめに
2 ナショナル労働市場という夢
3 集団就職の諸制度と集合的表象
4 本書の構成および資料類について
第2章 高度経済成長期における集団就職の概要
1 はじめに
2 集団就職を概観する
3 集団就職者の実存的問題
4 おわりに
第Ⅱ部 就職列車の半世紀
第3章 戦時体制下の集団就職
――1939年秋田発「日本最初」の就職列車を中心に
1 はじめに
2 1930年代における職業紹介制度の進展
3 戦時体制下における「少年就職列車」
4 1940年代における集団赴任制度の確立
5 おわりに
第4章 戦後における就職列車の展開
――「織女星号」から計画輸送のその後まで
1 はじめに
2 「織女星号」と青森発上野行き就職列車
3 集団赴任制度の強化と計画輸送制度の開始
4 計画輸送制度の終焉とその後
5 おわりに
第Ⅲ部 さまざまな求人と移動
第5章 人身売買から集団就職へ
――1954年青森発上野行き就職列車と大凶作
1 はじめに
2 広域労働市場における諸制度の整備
3 1950年代初頭における青森県と広域労働市場
4 人身売買と労働市場
5 1953年の大凶作と求人開拓の強化
6 おわりに
第6章 集団就職と県民性――鹿児島県出身者を中心に
1 はじめに
2 鹿児島県と集団就職
3 労働市場と県民性
4 おわりに
第7章 集団就職と都市イメージ――工都尼崎市の求職開拓政策
1 はじめに
2 高度経済成長期における職業紹介制度と地方自治体
3 兵庫県の求職開拓政策と尼崎市
4 尼崎市の求職開拓政策
5 求職開拓と都市イメージ
6 おわりに
第8章 海外移住としての本土就職――沖縄からの集団就職
1 はじめに
2 集団就職の諸制度と沖縄
3 本土への集団就職
4 三つの政府のはざまで
5 本土へのあこがれと現実への対応
6 おわりに
第9章 集団就職と韓国人研修生
――高度経済成長期における「開国」
1 はじめに
2 集団就職の制度化と求人難
3 韓国人研修生の導入の計画・実施
4 韓国から岐阜県へ
5 おわりに
終 章 集団就職を問いなおす
あとがき
参考文献
索 引