発達144:他者のこころの理解と発達
乳幼児期の子どもたちはどのようにしてこころの存在に気づき、その理解を深めていくのでしょうか? 本特集では、最新の実験研究の紹介や日常の子どもたちの姿を報告したエピソードなどをとおして、幅広い視点から、他者にかかわる「こころの理解」の発達に迫ります。
[ここがポイント]
◎ 「他者のこころの理解」という乳幼児研究における重要なテーマを、研究スタイルの異なる複数の視点から切り込み、やさしく紹介。
◎ 「自他理解」や「こころの理解の起源」から「園や家庭で育まれるこころの理解」「自閉症児のこころの理解」など、幅広いトピックが一冊に。
赤ちゃんに心の理解の起源を探る
――「情動共有」と「知的静観」という視点から(大藪 泰)
乳幼児期の向社会性
――赤ちゃんは生まれながらにやさしいのか?(鹿子木康弘)
子どもが「わたし」の物語を紡ぎはじめるまで
――幼児の自他理解の発達を辿る(坂上裕子)
心の理論の発達と他者の感情理解
――養育者、仲間、保育者とのかかわりから(平林秀美)
文化によって異なるパーソナリティ理解の発達(清水由紀)
親と子の駆け引きのなかで育まれる他者のこころの理解(菅野幸恵)
自閉症児者の他者とかかわる心の理解と発達(別府 哲)
保育の場における自閉症スペクトラム傾向のある子どもの心の育ち
――「二人称的アプローチ」により情感を共有する(宇田川久美子)
他者の気持ちの理解―園生活での子ども同士のやりとりを通して(久保ゆかり)
二~三歳児にとって魅力的なあそびとは
――集団あそびにおける共有テーマの特徴に着目して(瀬野由衣)
友達との遊びや生活を通して育つ幼児のこころ(田代幸代)
つぶやきノートから、子どものこころを垣間見る
――他者とかかわる子どものこころの発達(中丸元良)
【連載】
保育に活かせる文献案内〈連載 11〉
幼児期の音感教育(汐見稔幸)
ことばとコミュニケーションを科学する〈連載 11〉
ことばを覚えるとはどういうことか(玉川大学赤ちゃんラボ)
子どもたちの情景――そばにそっといたおねえさん先生から見えたこと〈連載 5〉
おかしな行動のうしろにある理由(ひらのゆうこ・浜田寿美男)
人との関係に問題をもつ子どもたち〈連載 86〉
生活の充実につながるコミュニケーション行動支援と学習活動の展開――訪問教育における子どもとの取り組みからの考察(《発達臨床》研究会)
霊長類の比較発達心理学〈連載 123〉
チンパンジー研究者、母になる――ヒトの生後2歳から2歳6カ月までの発達(林 美里)
障がいのある子の保育・教育のための教養講座――実践障がい学試論【保育/教育指導編】〈連載 14〉
「身体」を育てる(佐藤 曉)
育つということ――発達臨床のフィールドから〈連載 23〉
育ちと関係の多様性 その3 前思春期と内的世界(山上雅子)
【発達読書室】
著者が語る『驚くべき乳幼児の心の世界――「二人称的アプローチ」から見えてくること』(佐伯 胖)
書籍紹介