高次脳機能障害を生きる 当事者・家族・専門職の語り
「壊れたキングコング」の、「仕事ができない自分を許せない自分」の、「自尊心の回復」をめざす涙と共感の物語集
上田 敏氏(元東京大学医学部教授 元日本リハビリテーション医学会会長)推薦
周囲からは見えにくい障害ともいわれる高次脳機能障害――本書には、その障害を抱えて生きる当事者とその家族、および彼/彼女らを支援してきた専門職による一一の語りを収める。当事者と家族にみずから、あるいはそれが難しい場合にはインタビューによって受傷後の暮らしや思いをつづってもらうことを試み、さらにはときに悩みつつ彼/彼女らを支援
し続けた専門職の視点も加え、ひとりひとりの受傷・発症から今日に至るまでを重層的に描き出した、これまでにない画期的な一冊。
[ここがポイント]
◎ 当事者・家族・専門職というそれぞれの立場からの葛藤や機能の記録
◎ 個々の暮らしから生まれる具体的記述
◎ 日本脳外傷友の会設立15周年記念出版
第1話 今さら高次脳機能障害と言われても
高次脳機能障害って……何それ?[小林亮太]
21年の年月[小林眞由美(母)]
〈解説〉発達に伴い、高次脳機能障害が顕在化してきた青年[山舘圭子(臨床心理士)]
第2話 「キレるのが障害」なんだ
高次脳機能障害になって[長谷川優]
みんなに支えられて[長谷川真奈美(母)]
残念だけどもう一度[長谷川潤(父)]
〈解説〉学校への適応を支援して[阿部順子(臨床心理士)]
第3話 どこまで行ったら健常?
自分を振り返る[片岡憲孝]
ともに歩く[片岡久美(母)]
壊れたキングコング[片岡治貞(父)]
すべての人に感謝[片岡文惠(祖母)]
〈解説〉言葉に耳を傾ける[片岡保憲(理学療法士・兄)]
第4話 休まずに会社に行くことが大事と自分に言い聞かせて
買い物を楽しみに仕事をがんばる[村澤亮二]
皆さんに支えられて17年[村澤孝子(母)]
縁で結ばれた交流[竹内洋一(職場の支援者)]
〈解説〉脳外傷後の精神症状とその対応「先崎 章(精神科医)]
第5話 高次脳機能障害はないと思う
制約されるのが嫌[大久保武]
なすべきことを考えながら[大久保康子(母)]
〈解説〉家族として、専門家として[大久保みのり(作業療法士・姉)]
第6話 あの日を境に余所見を止めた
一段ずつ階段を上る[福田拓郎]
前向きにがんばった息子を誇りに思う[福田茂子(母)]
〈解説〉医療連携とリハから就労へ[納谷敦夫(精神科医)]
第7話 合った仕事にめぐりあえて一段落
仕事を楽しめています[塩澤正憲]
10年が一区切りなのかもと思っています[塩澤泰子(母)]
〈解説〉復職したその先に[青木重陽(リハビリテーション科医)]
第8話 自分でできるようになりたい
発症してからの生活とこれから[山本紀恵]
10年をふり返って[山本美恵子(母)]
ゆっくりですが、少しずつ[山本勲(父)]
〈解説〉地域での生活を支援して[浅野友佳子(作業療法士)]
第9話 隠さずに伝えていこう
私の障害の日々[松田克馬]
家族思いの父を襲った高次脳機能障害[松田圭介(息子)]
いろいろな人の力を借りながら[松田睦子(妻)]
〈解説〉高次脳機能障害とは何かを教えてくれた師[本多留美(言語聴覚士)]
第10話 夫と妻の心の旅
変わったと言われても……[美村恭平]
解決の糸口を求めて[美村翔子(妻)]
〈解説〉当事者と家族は[山口加代子(臨床心理士)]
第11話 それでも人生は続く
木原崇博氏の来し方を振り返って[原田圭(社会福祉士)]
おわりに