現代に生きる日本の農業思想 安藤昌益から新渡戸稲造まで
昨今、日本の農業をめぐっては高齢化や過疎化にともなう農業の担い手不足や農業生産の減少をはじめ、さまざまな問題に直面している。このような日本農業の立て直しを考えるために、いま必要な思想とはなにか。本書は、安藤昌益、二宮尊徳、内村鑑三、新渡戸稲造の生涯をたどり、彼らが農村や農業にどのような影響を与えたかを検討するとともに、その思想が現代にもつ意義を考える。
[ここがポイント]
◎ 安藤昌益、二宮尊徳、内村鑑三、新渡戸稲造の思想形成を農業・農村との関係から具体的に検討。
◎ 日本、中国、それぞれ異なる視点から思想家たちの今日的意義を提示する。
第1章 グローバル化のなかの農業思想(並松信久)
——内村鑑三と新渡戸稲造
1 グローバル化とは
2 国家と農業観
3 国際化と地方学
第2章 二宮尊徳思想の現代的意義(並松信久)
——幕末期の農村復興に学ぶ
1 なぜ二宮尊徳か
2 百姓の存在
3 家の存続
4 村の持続性
5 土地をめぐる復興
6 農業と自然
7 現代農業への問いかけ
第3章 中国における尊徳研究の動向と可能性(王秀文)
——二宮尊徳思想学術大会の取り組みを中心に
1 中国における尊徳研究の経緯
2 研究の展開と意義
3 今後の尊徳研究
第4章 安藤昌益の人と思想(三浦忠司)
——直耕・互性・自然
1 甦る安藤昌益
2 昌益思想誕生の八戸
3 八戸の人々との交流
4 社会変革思想の契機
5 徹底した平等の主張
6 八戸シンポジウム
7 昌益の原点たる京都
8 昌益が遺したもの
索 引