アクティブラーニングで学ぶジェンダー 現代を生きるための12の実践
アクティブ・ラーニング(学習者が主体となり、問題の発見から解決までに積極的に参加し、実質的な「力」を身につける)を通してジェンダーを学ぶ本書は、ジェンダーという概念を理解し、ジェンダーを読み解く力と現代社会を生き抜く力を身につけるために役立つテキストである。各章は、解説と実習(学習者自身が体験・実施する)から成り、現代社会においてとくに重要なテーマをとりあげる。
[ここがポイント]
◎ 理論的な解説だけでなく、学習者自身が主体的に体験して学ぶための「実習」や課題が用意されている。
◎ 各章で、学生自身にとって身近で重要な話題を取り上げている。
序 章 ジェンダーをアクティブに学ぶこと・研究すること(宇井美代子)
1 ジェンダーは身近にあるけれど気づきにくい
2 大学・短期大学におけるジェンダー論科目の現状
3 ジェンダーの学びにアクティブラーニングを導入する
4 本書の構成
第1章 セックスとジェンダー――性別はどうして決まるのか,そして誰が決めるのか(上野淳子)
1 セックスとジェンダー
2 社会における性別の扱い
3 セクシュアル・オリエンテーションをめぐって
◆実習1 あなたの性別は?――性別の根拠を考えよう
◆実習2 性別を決めるのは誰?――ある陸上選手の事例を通して考えよう
第2章 子どものジェンダー化――おもちゃ屋の広告調べから(青野篤子)
1 たかがおもちゃ,されどおもちゃ
2 ジェンダー化とジェンダー・フリー
3 学校教育とジェンダー
◆実習 おもちゃ屋さんのおもちゃ調べ,またはおもちゃ屋さんの広告調べ
第3章 物語におけるジェンダー――4つの『白雪姫』の比較分析から(赤澤淳子)
1 社会の変化と性役割
2 恋愛や結婚の意味
3 主人公や読み手の性別と物語
◆実習 4つの『白雪姫』の物語を比較してみよう
第4章 エイジングとジェンダー――写真を通して「老い」を考える(神前裕子)
1 年をとること(エイジング)
2 写真を通して考える
3 超高齢社会のエイジング
4 ジェンダー,そしてダイバーシティの視点から
◆実習 エイジングを撮り,語ろう
第5章 精神疾患とジェンダー・バイアス――摂食障害はなぜ女性に多いのか(水澤慶緒里)
1 ジェンダーと精神疾患
2 摂食障害の実際
3 摂食障害の原因
4 現代の摂食障害
◆実習 女性がなりやすい病気は何?
第6章 親密な関係における暴力――デートDVについて学ぶ(井ノ崎敦子)
1 デートDVとは何か
2 デートDV加害者の特徴と被害者に与える心理的影響
3 デートDVの予防
◆実習 デートDV予防プログラムを作ろう
第7章 母娘関係に見るジェンダー――言説分析を通して(松並知子)
1 娘を愛せない母――漫画『イグアナの娘』の言説分析より
2 献身的な母――マゾヒスティック・コントロール
3 「母」という役割の重圧
◆実習1 漫画『イグアナの娘』を読み,母娘関係について話し合おう
◆実習2 「母を支える娘のモノローグ」から母娘関係について考えてみよう
第8章 キャリアと金融リテラシー――人生設計の視点を学ぶ(西尾亜希子)
1 キャリアの視点の重要性
2 人生の3大支出について考える――教育資金を中心に
3 金融リテラシーおよび金融経済教育の重要性
4 幸福(well-being)のために
◆実習1 大学,短期大学に入学してから卒業するまでにいくらかかる?――自らの学費や生活費について知ろう
◆実習2 子どもの教育にいくらかかる?――教育資金計画を立てよう
第9章 ロールモデルに学ぶキャリア――インタビューを通して(荻野佳代子)
1 女性とキャリア
2 女性をとりまく雇用環境
3 キャリア・デザインに向けて
4 キャリア・デザインにおけるロールモデル
◆実習 ロールモデルへのインタビュー
第10章 家事と社会と個人の日常生活――その前提にある考え方を考察する(滑田明暢)
1 現代の社会における家事の位置づけ
2 ワーク・ファミリー・コンフリクト
3 家事をめぐる諸感情
4 より自分らしい家事と生活スタイルの遂行へ向けて
◆実習 オンライン・エスノグラフィを用いて家事の前提にある考え方を考察しよう
第11章 結婚・家族制度とジェンダー―結婚の条件をめぐって(土肥伊都子)
1 晩婚化・非婚化の理由
2 女性が正社員として働き続けない理由
3 女子大学生を対象にした調査結果
4 結婚願望を持ち続けさせるもの
5 好意的な性差別主義という罠
6 働き続ける女性が社会を変える
◆実習 結婚相手の条件とライフ・プラン
第12章 日本社会とジェンダー――論争から読みとく(青野篤子)
1 差異と平等をめぐる論争
2 母性をめぐる論争
3 女性美をめぐる論争
4 変わる?変わらない?女性と男性
◆実習 ジェンダーに関する問題をとりあげてディベートしてみよう
補 章 アクティブラーニングとジェンダー―活動性を高め,深い学びを導くために(澤田忠幸)
1 アクティブラーニングとは
2 各章でのアクティブラーニングへの取り組み
3 協同学習やICTを活用した授業作り
4 協同学習・グループワークを行う際の注意点
おわりに――授業担当者のみなさんへ
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