社会政策 第8巻第2号(通巻第24号)
21世紀の社会政策の特徴として就労支援政策があり、それは社会的包摂と位置づけられ、自己決定の観点から各国の相違点を指摘できる。また、地域活動・資源の活用による子育て中の女性に対するエンパワメント、生活困窮者の自立支援も、特徴の一つである。小特集1では欧州の就労支援と所得保障の比較分析、小特集2では子育て支援と女性労働の課題、小特集3では日韓の自立支援政策の再評価を行い、就労支援の今後を展望する。
[ここがポイント]
◎ 所得保障や女性と子育て支援、生活困窮者の自立等の観点から、現代の社会政策を捉える。
◎ 欧州や韓国の事例も踏まえ、就労支援や社会保障の展望を検証。
【小特集1】欧州の就労支援と所得保障:自己決定への模索
〈小特集1趣旨〉小特集に寄せて:欧州の就労支援と所得保障――自己決定への模索(高田一夫)
スウェーデンにおける失業と社会保障制度の変化(山本麻由美)
社会扶助受給者と労働市場――RSAがもたらしたもの(小澤裕香)
ドイツにおける長期失業者とワーキングプアへの生活保障制度の現状と課題――求職者基礎保障制度を中心に(森 周子)
【小特集2】子育て支援労働と女性のエンパワメント
〈小特集2趣旨〉小特集に寄せて:子育て支援労働と女性のエンパワメントをめぐる論点(相馬直子/松木洋人/井上清美/橋本りえ)
子育て支援労働をつうじた女性の主体化――社会的・経済的・政策的エンパワメントの諸相(相馬直子/堀 聡子)
子育て支援者の生活状況と制度化――経験と専門のはざまで(近本聡子)
子育て支援者の労働実態と経済的保障(尾曲美香)
【小特集3】生活困窮者支援策についての日韓比較研究
〈小特集3趣旨〉小特集に寄せて(戸田典樹)
韓国の勤労貧困層(Working Poor)に対する勤労連携就業支援政策からの考察(許 賢淑)
韓国における中間的就労の動向――国民基礎生活保障法の施行以後を中心に(權 順浩)
世帯更生資金貸付創設時における低所得層対策と生活保護行政の動向(田中聡子)
生活困窮者支援において「釧路モデル」が目指したもの――中間的就労が生活困窮者に及ぼした変化について(大友芳恵)
日韓比較研究からみる新たな中間的就労の可能性――「新しい生活支援体制」の検証から(戸田典樹)
【投稿論文】
開発プロセスの決定における労働者の自律性に関する考察――ソフトウェア開発の中・下流工程を対象として(三家本里実)
【書評】
大岡頼光著『教育を家族だけに任せない:大学進学保障を保育の無償化から』(評者:湯澤直美)
山崎 憲著『「働くこと」を問い直す』(評者:兵藤淳史)
大槻奈巳著『職務格差:女性の活躍推進を阻む要因はなにか』(評者:金井 郁)
上村泰裕著『福祉のアジア:国際比較から政策構想へ』(評者:鍾 家新)
SUMMARY/学会関連資料