子ども消費者へのマーケティング戦略 熾烈化する子どもビジネスにおける自制と規制
子どもの消費と子どもに対するマーケティング戦略の変化を、米国の先行事例や国際的な動向を軸に検証する。 市場における子どもの存在感が高まっている。両親・両祖父母というパトロンを抱えた子どもは重要な「顧客」と見なされ、多くの企業が子どもに照準を合わせたマーケティングを展開している。その一方で近年、欧米諸国では子どもに対するマーケティングに批判が高まり、企業はマーケティング戦略の修正を迫られている。本書は、巨大な子ども関連市場が成立し、熾烈な競争が繰り広げられる米国の現状と課題を分析し、課題解決に向けた新しいマーケティングの方向性について検証する一冊。
[ここがポイント]
◎ 子どもに照準を絞ったマーケティング市場の生成を熾烈化した米国の事例から分析。
◎ 2000年以降の国際的規制の展開と2012年国連「子どもの権利とビジネス原則」など、欧米各国の対応の実態
◎ 2015年に始動した日本の検討委員会の最前線の議論
初出一覧
序 章 子ども消費者とマーケティング
1 消費者としての子どもの誕生と子ども市場の成立
2 分析視角
3 研究方法と構成
第Ⅰ部 子ども消費者の発見とマーケティングの成立
第1章 子ども消費者の誕生と市場の生成――企業による「子ども消費者」の発見とマーケティング
1 「子ども消費者」はいかにして発見されたのか
2 マーケティングによる「子ども消費者」の発見
3 子ども市場の生成と子ども向けマーケティングの展開
4 「子ども消費者」の発見と見過ごされる子どもの特性
第2章 子どもに対するマーケティングの新たな方向性――子ども消費者に対する「自制的マーケティング」
1 子どもに対するマーケティング
2 消費者としての子どもの発達
3 「子ども消費者」の特性:2つの異なる見解
4 子ども消費者の発見と「自制的マーケティング」
第Ⅱ部 食品・飲料企業の子ども向けマーケティングの展開
第3章 食品・飲料企業の子ども向けマーケティングの現状と自主規制
1 食品・飲料企業の子ども向けマーケティングの現状
2 食品・飲料企業の子どもと若者向けマーケティングの現状
3 自主規制システム成立の背景
4 子ども向け広告専門審査機関(CARU)と自主規制ガイドライン
5 自主規制の対象となった食品広告の事例(1970年代~2000年代)
6 深刻な問題の発生と食品広告をめぐる新たな動向
第4章 子ども向けマーケティングをめぐる消費者運動――子どもを保護する消費者団体の活動を中心に
1 子ども向けマーケティングと消費者運動の展開
2 マーケティングから子どもを守る活動を行う主な消費者団体
3 子ども向けマーケティングの新展開:近年の消費者団体の活動を中心に
4 米国の消費者運動が提起する3つの視点
第5章 学校内にまで及ぶマーケティング――「市場」としての学校と「消費者」としての子ども
1 結びつきを強める学校と企業
2 食品・飲料企業の学校内マーケティング
3 学校内マーケティングの事例
4 学校内マーケティングの抱える課題
第6章 子ども向けマーケティングのグローバル展開――問われる米国食品・飲料企業の社会的責任
1 食品・飲料企業のグローバル・マーケティングと問題の拡散
2 国境を越える子ども向けマーケティング
3 問われる食品企業の社会的責任
4 問題解決に向けたマーケティング戦略の変更・修正
第7章 子どもに対する広告・マーケティングをめぐる新潮流――日本におけるガイドラインの成立
1 子どもを取り巻く消費環境の変化
2 子どもと広告・マーケティングに関する規制
3 子どもに対する広告・マーケティングの新潮流
4 責任あるマーケティングを目指すガイドラインの理念
終 章 子ども消費者に対するマーケティングの特殊性――米国事例にみる「自制的マーケティング」への転換
1 研究の総括
2 今後の課題
参考資料
参考文献
索 引