よくわかるスポーツ倫理学
本書は巨大化し複雑化する現代スポーツの世界の中で生じる、トップアスリートから一般のスポーツ愛好者をとりまく倫理的諸問題を幅広く取り上げる。これらの問題が発生する場をスタジアムと一般社会とに区分して、その現状を解説し、問題の考え方や解決の糸口を示している。さらに、スポーツの倫理的問題の歴史的・社会的経緯についての解説も盛り込んだ、スポーツ倫理学を縦横から把握できる最新のテキストである。
[ここがポイント]
◎ 本格的なスポーツ倫理学の初の入門書
◎ 体育原論・体育史・体育教育・スポーツ教育・スポーツ哲学の講義でも対応できる書
◎ 初学者から大学院修士レベルまでの学生・院生,教職志望者,保健体育科教員必読
第1部 スポーツ倫理学を理解するために
1 スポーツ倫理学の基礎知識(友添秀則)
1 スポーツとは何か
2 スポーツ倫理学をめぐるキーワード
3 スポーツ倫理学の成立と発展
4 スポーツ科学とスポーツ倫理学
5 スポーツと人格形成
6 スポーツの規範的研究とは何か
7 現代スポーツにおける倫理的問題
8 スポーツ・インテグリティとスポーツの新しい考え方
2 フェアプレイの精神とは何か(深澤浩洋)
1 フェアプレイとは何か
2 フェアとアンフェア
3 ベストを尽くすとは
4 相手の尊重と相手への敬意
5 審判・ルールの尊重
6 フェアプレイ精神の構造
7 フェアプレイ教育とスポーツ倫理
3 スポーツパーソンシップとは何か(関根正美)
1 スポーツパーソンシップとは何か
2 スポーツパーソンシップとスポーツマンシップ
3 スポーツマンシップの由来
4 イギリス人とスポーツマンシップ
5 スポーツパーソンシップとスポーツ規範
6 マナー・エチケットとスポーツパーソンシップ
7 スポーツパーソンシップとフェアプレイの精神
第Ⅱ部 スタジアムからスポーツを倫理する
4 勝敗の倫理学(岡部祐介)
1 スポーツにおける勝敗の意味
2 「勝利至上主義」は正しいか
3 勝利の倫理的意味
4 よい競争とは何か
5 敗北の価値をどうとらえるか
6 競技者にとっての勝敗
7 手段としてのスポーツと勝利
5 ドーピングの倫理学(竹村瑞穂)
1 ドーピングの定義
2 競技スポーツとドーピング事例
3 新たなドーピング技術——遺伝子ドーピング
4 アンチ・ドーピング活動
5 ドーピング禁止理由をめぐって
6 ドーピング容認論の見解
7 ドーピングはなぜ許されないのか
6 ゲームの倫理学(樋口 聡)
1 ゲームとは何か
2 ゲームと試合
3 ゲームを破壊するもの
4 ゲームとルール遵守
5 ゲームにおけるチート行為
6 ゲーム中の不正行為はなぜ許されないのか
7 ゲームが正しく行われるために
7 スポーツと八百長の倫理学(梅垣明美)
1 八百長とは何か
2 スポーツにおける八百長の実態
3 違法賭博とは何か
4 違法賭博と八百長の関係
5 八百長はなぜ許されないのか
6 違法賭博はなぜ許されないのか
7 IOC,FIFAなどの八百長,違法賭博の撲滅
8 八百長,違法賭博はスポーツを破壊する
第Ⅲ部 社会からスポーツを倫理する
8 スポーツと暴力の倫理学(菊 幸一)
1 暴力,体罰,ハラスメントと社会
2 スポーツにおける暴力
3 スポーツにおける体罰
4 スポーツにおけるハラスメント
5 社会の歴史からみたスポーツと暴力の関係論
6 暴力,体罰,ハラスメントを克服するために
9 スポーツ組織の倫理学(釜崎 太)
1 スポーツ組織とは何か
2 スポーツ組織のアンガバナンスの実態
3 スポーツ組織とガバナンスの必要性
4 スポーツ組織の健全性
5 スポーツ組織のインテグリティ
6 スポーツ組織の倫理
10 オリンピックの倫理学(田原淳子)
1 オリンピックと国際政治
2 オリンピズムの倫理性
3 オリンピックと商業主義
4 オリンピックと国威発揚
5 冷戦後のオリンピック
6 オリンピック休戦と平和への取り組み
7 国際親善と世界平和を目指して
11 スポーツと差別の倫理学(來田享子)
1 差別とは何か
2 スポーツにおける差別の事例
3 スポーツと人種差別
4 スポーツにおける外国人嫌悪
5 スポーツにおける経済差別
6 スポーツと性に関わる差別
7 スポーツにおける差別を克服するために
12 スポーツと環境の倫理学(等々力賢治)
1 スポーツと地球環境問題
2 スポーツ施設と環境破壊
3 IOCの環境問題への取り組み
4 エコ・スポーツの可能性
5 カーボンマイナス・スポーツの提唱
6 持続可能な社会とこれからのスポーツ
第Ⅳ部 スポーツを守るために
13 人物から学ぶスポーツ倫理学
1 クーベルタンのオリンピズム(和田浩一)
2 嘉納治五郎——精力善用・自他共栄(永木耕介)
3 アーノルドとアスレティシズム(宮島健次)
4 人見絹枝——競技者であること,日本人であること(春日芳美)
5 八田一朗——「闘魂」と「根性」(長島和幸)
6 大西鐡之祐——闘争の倫理(松瀬 学)
さくいん