伝奏と呼ばれた人々 公武交渉人の七百年史
[ここがポイント]
◎ 武家との交渉を行い、歴史の裏で天皇を支えた交渉人、「伝奏」の実態を紹介する。
◎ 「鎌倉時代以降、天皇と朝廷は武家に圧迫され困窮していた」という旧来の見方に刷新をせまる。
第Ⅰ部 鎌倉時代──関東申次の誕生と活躍
第一章 関東申次成立前史( 細川重男)
はじめに
1 武門平氏の時代
2 源頼朝の時代
3 頼朝薨去から承久の乱まで
おわりに
第二章 関東申次の成立(久保木圭一)
はじめに
1 承久の乱後の関東申次──鎌倉幕府指名以前の交渉人たち
2 関東申次の成立──西園寺実氏の関東申次指名
おわりに
第三章 関東申次の展開と終焉(鈴木由美)
はじめに
1 システム化する公武交渉
2 公武それぞれの交渉の事例
3 西園寺実兼の関東申次就任
4 大覚寺統・持明院統と関東申次
5 鎌倉幕府の滅亡とその後の西園寺氏
おわりに
第Ⅱ部 南北朝・室町時代~戦国・織豊期──関東申次から武家伝奏へ
第四章 動乱期の公武関係を支えた公家たち──「武家伝奏」の誕生 (水野智之)
はじめに
1 光厳上皇と足利尊氏・義詮の公武関係
2 後光厳・後円融天皇と足利義詮・義満の公武関係
3 後小松天皇と足利義満の公武関係
4 後小松・後花園天皇と足利義持・義教の公武関係
5 後花園天皇と足利義政の公武関係
おわりに
第五章 足利将軍家に仕えた公家たち──戦国期の武家伝奏と昵近衆の活躍 (木下昌規)
はじめに
1 応仁・文明の乱と武家伝奏(一四六七~九三年)
2 武家伝奏の任命と昵近公家衆
3 武家伝奏の役割
4 義澄・義稙期(一四九三~一五二一年)の公武関係──昵近衆と伝奏の役割
5 義晴・義輝期(一五二一~六五年)の公武間交渉と近衛家
6 足利将軍家と武家伝奏の関係の終焉(一五六五~七三年)
おわりに
第六章 織田・豊臣期の武家伝奏(神田裕理)
はじめに
1 信長・義昭と朝廷──交流のはじまり
2 義昭・信長並立期の公武交流
3 信長単独政権期の公武交流
4 秀吉期の公武交流
5 秀次期・秀頼期の公武交流
おわりに
第Ⅲ部 江戸時代──近世武家伝奏の活躍とその終焉
第七章 近世の武家伝奏の登場(村 和明 )
はじめに
1 近世はじめの武家伝奏
2 武家伝奏制度の確立
3 公武交渉の立役者
4 公武のはざまで
おわりに
第八章 近世中後期の武家伝奏の活動と幕府役人観 (佐藤雄介)
はじめに
1 財政をめぐる交渉の中で
2 朝幕間の事件の中で
3 幕府役人をどう見たか
おわりに
第九章 近世朝廷の武家伝奏から維新政府の弁事・弁官へ(箱石 大)
はじめに
1 幕末維新史の中の武家伝奏
2 幕末政治の展開と武家伝奏
3 公武合体・朝廷尊奉政策下の武家伝奏
4 幕末京都の政局と朝廷・幕府勢力の動向
5 王政復古政変と朝廷
6 維新政府の弁事・弁官へ
おわりに
あとがき(生駒哲郎)
人名索引