大阪万博が日本の都市を変えた 工業文明の功罪と「輝く森」の誕生
[ここがポイント]
◎ 公園のあり方を通じて、日本と世界の歩みがよくわかる。
◎ 大阪万博および万博公園の計画に携わった著者が、都市と公園の今後のあり方について語りつくす。
第Ⅰ部 大阪万博以前
第1章 日本は、万国博覧会とどうかかわったのか
1 日本人が初めて遭遇したロンドンの万国博覧会
2 都市美観改造のパリ万国博覧会
3 工業博としてのパリ万国博覧会
4 日本人が最初に見た万国博覧会
第2章 内国博覧会から始まった万国博覧会
1 博覧会の起源
2 上野公園での内国勧業博覧会
3 京都再興を願った京都建都一一1100年記念事業
4 最後にして最大の世界規模の大阪内国博覧会
第3章 幻に終わった戦前の万国博覧会
1 三代続いた万国博覧会開催への願い
2 第一世代の日本への万国博覧会誘致
3 第二世代の万国博覧会誘致運動
4 国威発揚の道具とされた万国博
5 幻に終わった第三世代の紀元2600年記念万国博覧会
6 工業化の成果ではなく、エキゾチシズムに甘んじた
第4章 アジア初の万国博覧会——大阪万博開催
1 100年目に、念願の万国博覧会が、日本に来た!
2 大阪万博のテーマ——人類の進歩と調和
3 なぜ、東京ではなく大阪で開催されたのか
4 なぜ、竹藪と農地の丘陵地で開催されたのか——エアポケットの地と交通の要衝の地
5 大阪大都市圏衛星都市構想
第5章 万博会場の設計思想
1 大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」は、会場設計にどう反映させられたか
2 西山夘三による田園都市型会場設計とお祭り広場
3 丹下健三による三次案
4 万博跡地の丹下の都市設計への野心
5 メガストラクチュアのアナクロニズム
第Ⅱ部 大阪万博以後
第6章 「人と自然の新しい関係の再建」をめざした都市公園への転換
1 地球規模の環境とエネルギー問題
2 「人類の進歩と調和」は、万博公園で達成された
3 都市センターから「緑に包まれた文化公園」へ
4 自然再建の都市計画——丹下健三から高山英華へ
5 公園を核とした都市計画
第7章 国立民族学博物館の誕生
1 民族学博物館は、大阪万博から生まれた
2 「大阪万博跡に、万国博を!」——文化相対主義としての展示
3 平和をめざす研究機関としての国立民族学博物館
第8章 太陽の塔は、残った
1 太陽の塔はいらない——三つの理由
2 べらぼうなものをつくる!
3 宇宙(太陽系)の中の人類の位置を探ったテーマ館
4 太陽の塔は、立ち続ける
第9章 地球環境時代の新種の公園
1 大胆不敵な森の再建——万博の森
2 三つの森で、生物多様性のある生態系の風景をつくる
3 タカが棲息する都市公園をめざす
4 生物多様性のある回遊式風景庭園(公園)の誕生
5 工業文明から生物多様性社会への芽生え
第10章 巨大都市の功罪
1 万博公園は、自然破壊の免罪符か
2 巨大都市化がもたらした課題と展望
3 都市の中に、都市をつくる
4 サステイナブル・シティ・イン・メガシティ
第11章 2070年の万博公園の未来に向けて
1 城壁型公園から解放型セントラルパークへ
2 万博公園を核にした千里環境文化創造都市をつくる
3 新都市の装い
4 多心型大都市圏構想
参考文献
あとがき——都市の中に、森をつくるということ
年 表
人名・事項索引