「名著」から読み解く日本社会史 古代から現代まで
[ここがポイント]
◎ 「名著」の背景にある作者の意図や社会状況を深く読み取る作業をとおして、社会を複眼的にとらえる試み。
◎ 歴史研究を志向する人のみならず、近代の日本社会、社会思想を研究対象とする・興味がある人にとって有意義な著。
第1部 日本社会史の名著――古代篇
第1章 日本人はどこから来たのか?――『騎馬民族国家』 江上波夫
1 江上波夫とは
2 本書の背景――戦前の考古学からの出発
3 『騎馬民族国家』の世界
4 本書の影響
第2章 日本古来の思想って何?――『火山列島の思想』 益田勝実
1 益田勝実とは
2 本書の背景――国語教育からの出発
3 『火山列島の思想』の世界
4 本書の影響
第3章 「夢にも固有の歴史があった」のか?――『古代人と夢』 西郷信綱
1 西郷信綱とは
2 本書の背景――「社会史」の影響
3 『古代人と夢』の世界
4 本書の影響
第2部 日本社会史の名著――中世篇
第4章 「古代的」なるものへの反逆――『中世的世界の形成』 石母田正
1 石母田正とは
2 本書の背景――「戦後歴史学」への出発
3 『中世的世界の形成』の世界
4 本書の影響
第5章 中世社会の発見――『山の民・川の民』 井上鋭夫
1 井上鋭夫とは
2 本書の背景――文献中心主義史学への挑戦
3 『山の民・川の民』の世界
4 本書の影響
第6章 日本社会の「特殊」と「普遍」――『中世に於ける社寺と社会との関係』 平泉澄
1 平泉澄とは
2 本書の背景――皇国史観への道のり
3 『中世に於ける社寺と社会との関係』の世界
4 本書の影響
第7章 日本中世の自由・平等・平和――『無縁・公界・楽』 網野善彦
1 網野善彦とは
2 本書の背景――日本社会と西洋との距離
3 『無縁・公界・楽』の世界
4 本書の影響
第3部 日本社会史の名著――近世篇
第8章 日本史学への挑戦――『日本封建社会成立史論』(上・下) 安良城盛昭
1 安良城盛昭とは
2 本書の背景――歴史論争の時代
3 『日本封建社会成立史論』の世界
4 本書の影響
第9章 戦国時代の「村」をどうとらえるか――『雑兵たちの戦場』 藤木久志
1 藤木久志とは
2 本書の背景――中近世移行期をめぐる研究
3 『雑兵たちの戦場』の世界
4 本書の影響
第10章 江戸時代の政治と社会をどう見るか?――『田沼時代』 辻善之助
1 辻善之助とは
2 本書の背景――国史学の風景
3 『田沼時代』の世界
4 本書の影響
第11章 江戸時代とは何か――『鎖国と開国』 山口啓二
1 山口啓二とは
2 本書の背景――戦前から戦後へ
3 『鎖国と開国』の世界
4 本書の影響
第4部 日本社会史の名著――近代篇
第12章 幕末の「世直し」状況に何をみるか――『世直し』 佐々木潤之介
1 佐々木潤之介とは
2 本書の背景――60年安保と歴史学研究
3 『世直し』の世界
4 本書の影響
第13章 民衆の思想から歴史を考える――『日本の近代化と民衆思想』 安丸良夫
1 安丸良夫とは
2 本書の背景――「民衆思想史」の誕生とその背景
3 『日本の近代化と民衆思想』の世界
4 本書の影響
第14章 歴史における「人間不在」――『昭和史(初版)』遠山茂樹ほか
1 『昭和史(初版)』とは
2 本書の背景――アジア太平洋戦争をどう評価するか?
3 『昭和史(初版)』の世界
4 本書の影響
あとがき――「名著」のゆくえ
謝辞
人名索引
事項索引