「参加の力」が創る共生社会 市民の共感・主体性をどう醸成するか
マネジメントの「キモ」はボランティアにあり。「共感」「参加の力「を産まない組織・社会は滅ぶ。
社会活動家・法政大学教授 湯浅 誠氏推薦
「市民自治社会」の基盤となるボランティアの定義、ボランティアと自治体・企業・NPO等の各種団体との連携体制をどう構築すべきか等の基礎的知識をはじめ、市民が主体的に社会を変えていくために必要な視点や考え方を、昨今の事例を踏まえ、わかりやすく解説。より効果的・創造的に活動を進めたいボランティア・NPO関係者、住民がより主体的に地域活動に取り組むための支援をしたい自治体職員、市民活動との協働を進めたい企業CSR関係者に読んでほしい一冊。
[ここがポイント]
◎ ボランティア現場の第一線で活躍してきた著者による書き下ろし。
◎ 自治体・企業等の所属員も市民であるという点と、様々な団体と連携する意義を、長年の経験を基にわかりやすく解説。
序 章 「参加の力」の素晴らしさ
1 「参加の力」が発揮される多彩な取り組み
2 自治と共生の視点を伴った社会づくりへ
第1章 ボランティアはネコである!?──共に自主・自律が基本
1 ボランティアは苦役? いいえ、一種のレジャーです
2 学生のボランティア活動への関心が相対的に“低い”理由は?
3 ボランティアの基本は“自主・自律”
第2章 ボランティアは恋愛に似ている!?──違いは「公共性」の有無のみ
1 日々の暮らしの隣にある市民活動──「私」を「開く」と公共的になる
2 「公」と「私」の違いから読み解く民間公益活動の動機
3 「ボランティア≒恋愛」論
第3章 「官尊民卑」からの出発──阪神・淡路大震災以前
1 公共活動は行政の専管事項!?
2 「公私協同」論の登場と「ボランティア推進政策」
第4章 「無償」の意味と多様な活動
1 「ボランティアは無償」となった経緯
2 無償の取り組みの積極的な意味
3 いわゆる「有償ボランティア」をめぐる議論
4 NPO(非営利組織)と市民活動の関係
5 「時間預託」「地域通貨」などの取り組み
6 「営利を目的としない」姿勢の象徴、ボランティアの参画
7 「交換条件つき報酬」が意欲を下げる!──『モチベーション3.0』の指摘
第5章 「自発性」の持つ力──市民活動は行政を超える
1 「自発」の取り組みゆえの強み──市民と行政の取り組みの違い
2 「市民の参加」ならではの意味──「当事者意識」を広げ、市民の自治力を高める
3 人を取り巻く4つの関係
4 活動する人自身も元気になる
第6章 「強み」が「弱み」に──自発的社会活動の弱点
1 「ボランティア拒否宣言」から学ぶこと
2 独善化とマンネリ化──客観的評価システムにさらされない弊害
3 自発性パラドックス
4 応援を求める人をどう見るか?
第7章 市民活動のための法人格誕生──特定非営利活動促進法の成立
1 100年続いた制度が大改革された理由
2 特定非営利活動促進法の成立
第8章 「参加」は“商品”である──「参加の機会」を提供して「自立」するNPO
1 参加の受け皿となっているか?
2 「自立観」を変えよう──「他者に頼らない」ではなく「参加の機会を提供する」
3 「参加」が生み出す7つの変化
4 財源論から見た共感的支援者の立ち位置
第9章 「参加」が進む組織づくり
1 「モチベーション3.0」
2 「やる気」を高める3つのポイント
3 「自律性」を高めるには──参加型の組織づくり
4 創造的で懐の深い組織となるために
第10章 寄付税制と公益法人制度改革の変遷──市民活動の制度的位置づけ
1 認定特定非営利活動法人制度
2 公益法人制度改革
3 政治活動に関する規制
4 NPO法人か一般法人か?
第11章 「協働」の時代──弱みを理解し合い強みを出し合う
1 連携しないと解決できない課題群
2 連携にあたっての姿勢
3 営利セクター(企業)との協働
4 政府(行政)セクターとの協働
5 マルチステークホルダー・プロセスとコレクティブ・インパクト
6 市民がつむぐ自治と共生の社会
あとがき
参考文献
索 引
コラム
1 「不幸産業」ということ
2 「心」はどこにあるのか?
3 「NPO 3.0」を目指そう!
4 「嫌だったらやめてもよい」ということ