価値共創時代の新地平を拓く—— 分散認知と関連性理論を手がかりとして、 マーケティングの価値を批判的に検討する。
著者 |
川口 高弘 著
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ジャンル |
経営
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シリーズ |
経営 > MINERVA 現代経営学叢書 53
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出版年月日 |
2018年07月10日
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ISBN |
9784623083244 |
判型・ページ数 |
A5・256ページ |
定価 |
定価5,500円(本体5,000円+税) |
在庫 |
在庫あり |
マーケティングにおける価値は、必ずしも明確にされているとは言えない。本書は、人間の認知を頭のなかの情報処理の産物としてではなく、人やモノとのインタラクションを通じて社会的に達成されるものとして捉える視点から、文脈価値、使用価値、快楽価値、経験価値を批判的に検討する。そこで示されたことを手がかりとして、消費者との価値共創プロセスの仕組みを明らかにするものである。
[ここがポイント]
◎ 文脈価値、使用価値、快楽価値などの観点からマーケティングを再考する。
◎ 消費者が認知する価値について、主体と周辺環境との相互作用に焦点を当てて分析する。
はしがき
初出一覧
序 章 認知主義を越えて
1 消費社会の批判的議論に見られる問題
2 「価値」の概念に関する問題
3 マーケティングにおける価値と消費者行動研究
4 包括的モデルから情報処理モデルへ
5 情報処理モデルの発展
6 分散認知の認識論
7 周辺領域における研究
8 本書の構成
第Ⅰ部 文脈価値を形成するコンテクストの検討
第1章 文脈価値の可能性とコンテクスト
1 新たなマーケティング・パラダイムへの期待
2 S—Dロジックとは
3 S—Dロジックの基本的前提
4 S—Dロジックの資源論
5 文脈価値とその問題点
6 既存研究が残した課題
第2章 認知のための資源と関連性理論
1 認知のための資源はどこに存在するのか
2 コードモデルの限界
3 コードモデルを超えて
4 推論モデルと関連性理論
第3章 コンテクストを規定する要素
1 関連性理論と文脈価値
2 ネスレの「キットカット」と文脈価値
3 マーケティングにおける分散認知論と関連性理論の可能性
第Ⅱ部 マーケティングにおける使用価値の再検討
第4章 使用価値とその可能性
1 マーケティングにおける使用価値
2 使用価値の可能性とコンテクスト
3 消費の恣意的性格
第5章 消費者は使用価値をどのように理解するのか
1 テクストの意味形成と受容・理解の仕組み
2 「テクストの意味形成と受容・理解の仕組み」から見た石原説
3 「テクストの意味形成と受容・理解の仕組み」から見た石井説
4 消費者が使用価値を理解する仕組み
第6章 製品の物的可能性を規定する要素
1 「アフォーダンス」とは
2 行為を可能とするアフォーダンス
3 アフォーダンスと製品の物的可能性
4 多目的製品と使用価値
5 プロダクト戦略におけるアフォーダンスの可能性
第Ⅲ部 快楽価値概念の再検討
第7章 快楽的消費の意義と課題
1 快楽消費研究の台頭
2 消費経験論と快楽的消費
3 「快楽」と価値概念
4 マーケティングにおける解釈主義的アプローチ
5 ポストモダンと解釈主義的アプローチ
第8章 快楽的消費の可能性
1 ポストモダンの消費文化と即時的満足
2 経験的消費と経験価値
3 既存研究の批判的検討から生まれた独自の快楽論
4 感情心理学における「快楽」
5 既存研究のレビューにおいて示されたこと
6 共通理解を得るための要件整理
第9章 プロテスタント的満足を梃子にして顕在化する快楽
1 資本主義の精神と世俗内的禁欲
2 天職と行動的禁欲
3 禁欲と快楽
第10章 社会的視点に媒介された認知によって理解する快楽
1 プロテスタントの倫理の終焉と快楽的社会の台頭
2 即時的な満足を容認する社会
3 「快楽」とは何か
第11章 マーケティングにおける快楽
1 消費における快楽的満足
2 異なる種類の満足を組み合わせたプロダクト戦略
3 快楽的消費と快楽価値
4 快楽の文学的・哲学的考察
第Ⅳ部 文化的使用価値が顕在化する仕組みの検討
第12章 文化的使用価値が顕在化する仕組み
1 文化的使用価値と価値共創
2 「意味のズレ」で説明する文化的使用価値の顕在化
3 文化的使用価値は顕在化するのか
第13章 文化的使用価値が顕在化する仕組みにおけるコンテクストの役割
1 発話(テクスト)の意味形成と受容・理解の仕組み
2 テクストの意味はどのように形成されるのか
3 「意味の交渉」のプロセスと石井説
4 マーケティングにおける「意味の交渉」
第14章 文化的使用価値の顕在化を規定する要素
1 文化的透明性と文化的使用価値の顕在化
2 カスタム・ハーレーの意味をめぐる交渉のなかで創発する文化的使用価値
3 文化的使用価値の顕在化におけるコンテクストの意義
4 経営情報学における「創発」
終 章 価値共創時代の新地平
1 価値共創時代における価値
2 価値共創時代のプロダクト戦略
参考文献
あとがき
謝 辞
索 引