ソーシャル・キャピタルと経済 効率性と「きずな」の接点を探る
[ここがポイント]
◎ 高齢者の社会参加・格差問題等の経済活動の諸側面とアメリカ・中国・日本等の各国の経済動向という2点を軸に考察。
◎ 今後の日本経済の進むべき方向性を知る手がかりを探究。
まえがき
1 本書の問題意識
2 本書の構成と各章の位置づけ
序 章 経済とソーシャル・キャピタルとの相互依存関係(大守 隆)
1 経済活動を表す国民経済計算の枠組み
2 経済活動の三側面とソーシャル・キャピタル
3 ソーシャル・キャピタルと経済の動学的な相互関係
4 ソーシャル・キャピタルと経済学の微妙な関係
5 社会的選択を通じた経済活動との相互依存関係
第Ⅰ部 ソーシャル・キャピタルと経済の多様な関係
第1章 経済発展とソーシャル・キャピタル──市場・政府・コミュニティの枠組みから(澤田康幸)
1 3つの資源配分メカニズム
2 経済学における市場・政府・コミュニティ
3 ソーシャル・キャピタル
4 ソーシャル・キャピタルの計測
5 経済発展とソーシャル・キャピタル
6 市場の失敗・政府の失敗を補正するソーシャル・キャピタル
第2章 日本企業と高齢者が果たすべき役割(奥山俊一)
1 はじめに
2 ボランタリー経済とその系譜
3 変貌する高齢社会とソーシャル・キャピタル
4 イギリスの「新しい公共」
5 日本社会が進むべき方向
第3章 社会起業と地域イノベーション(服部篤子)
1 社会起業の意義
2 社会起業研究
3 社会起業と経済
4 社会起業のビジネス環境
5 社会起業とソーシャル・キャピタル
第4章 イノベーション促進の触媒機能を果たすソーシャル・キャピタル(百嶋 徹)
1 イノベーション創出に向けた最適なネットワーク構造
2 オープンイノベーションの必要性とイノベーションの方法論の転換
3 オープンイノベーションを成功させるための要件
4 オープンイノベーション推進に向けた産業支援機関のあり方
5 新しいコラボレーションの場の台頭
6 多様な場を併せ持つサステナブル・クリエイティブシティ構築の必要性
第5章 社会基盤としてのソーシャルメディア(須田和博)
1 ソーシャル・キャピタルとソーシャルメディア
2 ソーシャルメディアの定義と類型
3 ソーシャルメディアの利用動向
4 ソーシャルメディアのネットワーク特性
5 社会基盤としてのソーシャルメディア
第6章 コモンズと農山村経済(泉 留維)
1 農山村の衰退と里地里山
2 現代社会とコモンズ
3 開いたコモンズとしてのフットパス
4 市民的なアクセスの形成に向けて
第7章 ウェルビーイング・格差とソーシャル・キャピタル──OECDにおける議論を中心に(平井 滋)
1 ウェルビーイングとソーシャル・キャピタル
2 格差と経済成長、ソーシャル・キャピタル
3 政策分析における実用化のための課題
第Ⅱ部 ソーシャル・キャピタルからみた経済の多様性
第8章 日本の空気本位制の功罪(大守 隆)
1 日本のソーシャル・キャピタル
2 日本経済の特徴
3 日本の不安とセーフティネット
4 空気本位制の影響
5 悪循環からの脱出
第9章 中国の急成長を支えた人脈資本主義(范 立君)
1 なぜ急成長できたか
2 中国式の社会関係の結合原理とその変容
3 社会関係と人脈資本主義の高成長──2000年代までを中心に
4 社会関係の権力との結合と人脈資本主義の衰退──2000年代以降を中心に
5 全人類の発展とソーシャル・キャピタルの意義
第10章 スウェーデンにみる新たな成長モデル──地域・産業クラスターとイノベーション(篠田武司)
1 イノベーションの重要性が高まる
2 イノベーションと知識基盤型経済
3 イノベーションの「場」としての地域
4 地域・産業クラスター
5 スウェーデンにおける地域への注目
6 スウェーデンにおける地域・産業クラスター
7 ソーシャル・キャピタルと地域・産業クラスター
8 雇用と福祉が生む信頼と成長
第11章 日米で大きく異なる企業生態(平泉信之)
1 日本企業の思考と行動の米国人への説明
2 7-Sによる日米企業の生態比較
3 生態の相違の根底に価値観の相違
4 日本的企業生態を超えて
終 章 21世紀の世界経済へのソーシャル・キャピタルの含意(大守 隆)
1 有識者アンケートの結果と含意
2 5つの問いへの暫定的な答え
3 ソーシャル・キャピタルの構造・慣性・多様性
索 引