ピアジェとワロンは同じ時代、同じフランス語圏にあって同じように発達理論を構築した。けれども2人の理論の相異は相似の部分より圧倒的に大きい。2人が描いてきたものを根底から再検討する。
第1部 ピアジェ的世界第1章 ピアジェにおける認知発達論 1ピアジェ理論の展開――「知能の誕生」の位置 2認知機能を軸にした話想領界の一元化 3ピアジェ的世界の貧困第2章 ピアジェにおける情意発達論 1ピアジェにおける情意発達論の出発点 2情意の発達段階論 3ピアジェにおける認知と情意第3章 ピアジェの発達論は何をどこまで捉えたか 1ピアジェの基本枠組み――シェマ、その同化と調節 2ピアジェの枠組みからこぼれ落ちるもの 第2部 ワロン的世界第1章 ワロンの発達論の位置 1ワロンと時代-状況のなかの子ども 2ワロンのたどってきた道――身体と時代第2章 ワロンの身体論 1諸機能の連関と階層の場としての身体 2心身二次論を越える発生の場としての身体 3身体場の構図 4身体場にあらわれる三つの機能系列 5ワロンの情動論第3章 ワロンの発達段階論 1衝動的運動性の段階 2情動的段階 3感覚運動的段階 4投影的段階 5ワロン発達論の意味 第3部 二人が描いた世界第1章 発達段階論というもののイメージ――単線と複線 1ピアジェが描いた発達の流れ 2ワロンが描いた発達の流れ第2章 二人の描いた世界の違い 1赤ちゃんは自らの個体能力で生きるのか 2歴史と物語