ローマ史を世界史的視野からみると、「どのようにしてローマは一小都市国家から世界帝国を築き上げたのか」という 「ローマの支配の形成」の問題がある。ローマが都市国家的性格を保ちつつ支配を拡大し、官僚制的行政機構を形成せず、拡大した支配領域を統治し得た秘密は、ローマの都市制度にあったといえよう。本書では、共和政期イタリアにおけるローマの支配を、「都市の都市に対する支配」ととらえ、その具体的メカニズムを解明するために、個々のイタリア都市の諸制度を検討する。
序 ローマ都市制度史研究の意義 1 共和政ローマの市民権政策と都市自治1 同盟市戦争以前のムニキピウム自治をめぐる諸問題 2 共和政ローマのムニキピウム都市裁判制度成立に関する一考察 3 ルブリウス法について 4 ピケヌム地方のローマ市民権賦与について 5 同盟市戦争後のイタリアをめぐる諸問題 2 共和政ローマの植民と同盟1 共和政ローマの植民政策 2 共和政ローマの同盟関係 3 ローマ都市ティーキーヌムの地誌学的検討 3 ポンペイ研究1 ムニキピウム・ポンペイの再検討 2 ポンペイの選挙 3 イタリア都市の公共事業 終 概観参考文献/事項索引/地名・人名索引