20世紀はアメリカの世紀であった。自由と民主主義の国、アメリカ。人権と民主主義を外交の柱とするアメリカ。アメリカは民主主義を語る。アメリカはラテン・アメリカをはじめ、世界各地で民主主義を伝道する。アメリカは、軍事・経済援助を通じて、そして民主化支援を通じて民主主義を輸出する。しかし、アメリカの語る民主主義に疑問を抱いたことはないだろうか。本書は、アメリカ研究、外交史、そして国際政治学の研究者が、民主主義という理念がアメリカ内政・外交において果たす役割を共同研究したものである。
はしがき序 アメリカが語る民主主義とは何か 1 アメリカの民主主義の実践1 アメリカン・ボード海外伝道局と民主主義の布教2 ラディカルたちのスペイン内戦3 アメリカ民主主義における他者の位置――反核平和運動と「日本」 2 アメリカの外交政策にみる民主主義4 アメリカ外交における自由主義と民主主義 ──ボリビア革命(1952~64年)に対する援助政策をめぐって5 民主主義、選挙と国内的安全保障 ──1950年代のラオス選挙とアメリカ6 軍の専門職業化による民主化政策 ──国際軍事教育訓練(IMET)の役割と効果 3 民主主義観の対立と相互浸透性7 中国共産党とアメリカ民主主義──延安・天安門・コソヴォ8 アメリカと日本における民主主義と反共主義1945~52年9 民主主義と他者認識──選挙制度をめぐる米比関係史に関する試論10 ペルーの「自主クーデタ」に対するアメリカ外交 4 民主主義の普遍性の模索11 民主主義の普遍性と政経分離原則 ──アメリカの世界銀行政策に焦点をあてて12 民主主義の普遍性とアメリカの利害あとがき欧文索引/索引