貧困と社会的排除 福祉社会を蝕むもの
貧困と社会的排除は、21世紀福祉社会の「中心」にある課題である。福祉の「発展」の中で隠蔽されてきたこの課題に迫るために、第一部で現代日本の貧困と排除を検討する視点をまず論じ、第二部では貧困の実態についてのさまざまな角度や方法による実証研究を収録するとともに、第三部は、戦後日本の具体的福祉政策が貧困をどのように対象化し、具体的プログラムを展開していったのかを多様な角度から検討する。さらに第四部において、貧困や社会的排除からの出口を模索する。
Ⅰ 現代の貧困をみる視点
1 政策と貧困
2 排除による貧困
Ⅱ 貧困の分布と諸相
3 収入からみた貧困の分布とダイナミックス
4 住宅からみた高齢女性の貧困
5 健康と貧困との相互関係
6 大都市における貧困の空間分布
Ⅲ 貧困と政策展開
7 「被保護層」としての貧困
8 福祉政策と女性の貧困
9 単身男性の貧困と排除
10 外国人労働者をめぐる貧困と排除
Ⅳ 福祉社会への模索
11 檻のない牢獄
12 貧困地区の改善戦略について
あとがき
人名・事項索引