1991年以降の危機含みの経済停滞について、バブル研究を総括・整理した上で、この間の銀行・産業再編の現状と資金フローの変化を明らかにし、金融行政・金融政策の功罪を問う。また、これをスウェーデンの金融危機処理と対比しながら、今後あるべき金融システム像を展望する。同時に従来の企業統治の問題点、日本の対外援助・対直接投資の特質・問題点も明らかにしていく。最後に、物価変動に焦点をあて「平成デフレ」を分析する。着実な史的事実の把握と、詳細・豊富な統計資料を基礎とした本格的研究書。
はじめに序 日本のバブル再考 諸説のサーベイおよび後続不況との関連 …………………………………………一ノ瀬 篤1 バブル崩壊後における資金フローの変化 直接金融の「進展」とその矛盾…一ノ瀬 篤2 金融行政の現代史 混迷する行政に揺れる銀行 ……………………………………………津田和夫3 銀行による企業統治の転機 信用創造機能を原点とする市場型間接金融と 企業の社会的責任……………………津田和夫4 不良債権処理と金融システムの将来像 金融機関合理化と金融再編の構図…中野瑞彦5 平成不況と金融政策 マネタリズム批判の視点から………木村二郎6 企業再生への方途 スウェーデンにおける金融危機とその克服 ……………………………………………藤田 香7 円借款の「不良債権処理」 公的金融の対外リスク調整の断面 ……………………………………………竹原憲雄8 日本経済のグローバル化は可能か 対日直接投資とグローバル化をめぐって ………………………………モグベル・ザファル9 銀行再編=産業再編下の大企業体制 メインバンク関係と株式相互持合いの現状 ……………………………………………鈴木 健10 平成デフレの構造 生産性格差インフレからデフレの変容 ……………………………………………滝田和夫あとがき/索引