わが国では、ヴィクトリア朝文化について歴史・文学・美術・あるいは建築などそれぞれの分野において研究が進んではいるが、ヴィクトリア女王そのものを対象としてとりあげた研究はなかった。本書は、男は公領域、女は私領域に活動の場を得るのが男女本来の資質に適っているという考え方が支配的であった時代にあって、「公領域の頂点に立つ女性」というパラドキシカルな存在であったヴィクトリア女王に、王権とジェンダーの関係、「視覚的表象」と「言語的表象」と王権の関係という視点から迫る「ヴィクトリア女王学」の第一歩。これはまた、わが国の「女帝論争」にも何がしか示唆するものがあろう。
はじめに1 女性君主とドメスティック・イデオロギー ……………………………………川本静子2 笑わない女王 ヴィクトリア 「王室肖像画」再考…谷田博幸3 アルバート公 ヴィクトリアン・ポピュラー・モナキーの成り立ち ……………………………………松村昌家4 ヴィクトリア女王とディズレーリ……村岡健次5 女王と外国人とユダヤ人…………度会好一6 女王は「帝国の母」だったのか? サラ・フォーブス・ボネッタの物語を中心に ………………………………井野瀬久美惠索 引