子どもと大人の「共に生きる」関係、それはお互いに主体であるもの同士が相手を主体として受け止め合う関係です。相互主体的な関係という視点から乳幼児期の観察事実を詳しく分析し、この観点を活かす方向性を示します。
序 相互主体性の概念に至るまで 私の研究史を振り返る1.本書執筆の意図/2.私の研究史前史/3.「子ども-養育者」関係への定位と間主観性という概念/4.両義性という概念の登場/5.関係発達論の構築に向けて/6.主体および相互主体性という概念の必要/7.諸概念間の関係図/8.方法論的態度の問題1 主体という概念を再考する 「主体としての育ち」を考えるために1.「主体的に」「主体として」ということばの使われ方から見えてくること/2.私が「私は一個の主体である」というときの主体概念/3.主体は世代間関係のなかに立ち現れる/4.主体とは一つの両義性である/5.相互主体性という概念の射程2 相互主体性の観点から間主観性を考える1.間主観性の意味でのintersubjectivity/2.共同主観性の意味でのintersubjectivity/3.相互主体性という意味でのintersubjectivity/4.離乳食エピソード再考/5.離乳食エピソードの登場人物が「主体である」とはどういうことか/6.相互主観性の見地から「育てる」という問題を考える/7.間主観性の概念の射程3 乳幼児期における相互主体的な関係1.子どもに主体としての二面性が育っていく経緯(理論的概観)/2.1歳前から1歳半にかけての相互主体的な関係/3.1歳半から2歳ころの相互主体的な関係/4.2歳代前半の相互主体的な関係/5.2歳半から3歳過ぎにかけての相互主体的な関係終 相互主体的に生きることの難しさ1.保育の場の気になる子どもの一例から/2.軽度発達障碍と診断された子どもの学校生活/3.まとめに代えて参考文献/私の研究業績リスト/あとがき