その著作から関心の変化を読みとり、研究生活の全体を浮かび上がらせる。マックス・ウェーバーは同時代の状況からどのように課題と素材を受け取り、それに対していったいどのような試行錯誤を繰り返しながら研究を続けていたのだろうか。30代での国民経済学者としての出発から、やがて社会学へと辿りつくまでの諸テキストに見られる関心の相違を追うことで、知の巨人の足跡に迫る。2008年度日本社会学史学会奨励賞 受賞
まえがき 狐を追いかけるハリネズミたち凡例序論 歴史科学という問題 1)本書の立場 2)ウェーバーの方法をウェーバー自身の言説に当てはめること 3)本書の構成1 社会政策という出発点 1)若手社会研究家 2)産業労働と心理学 3)批判者としての登場 科学論における新しい試み 4)最初の代表作の仕掛2 プロテスタンティズム研究と関心の移動 1)新たな読みの可能性 2)書き換えられるテキスト3 普遍史と歴史主義の課題 1)普遍史という問題 2)普遍史から歴史主義の課題へ 3)「価値自由」と普遍史 4)ウェーバー像についてのこれまでの研究 5)普遍史と西洋中心主義の問題 6)ウェーバー晩年の立場4 歴史科学と文化諸科学の関係 1)生と個別性 ゲオルク・ジンメルとの関係 2)生に対する歴史の利害 3)「実証主義」との関係 4)芸術との関係5 「社会学」という新事業 1)「社会学」が置かれていた位置 2)厳密な歴史科学としての「社会学」 3)合理性類型論の登場結論 歴史科学の復権へ注/文献一覧/あとがき/索引