公共的利益と私的利益のジレンマ相互協力への参加/不参加をめぐる葛藤のメカニズムを現実の社会問題を通じて探る。社会への参加は個人から見れば犠牲や制約を伴うが、すべての個人がそうした犠牲や制約を避けようとすれば社会は立ち行かなくなってしまう。本書は現実のさまざまな社会問題に潜むこうした個人と社会のあいだの相克を社会的ジレンマ・アプローチを通して明らかにしていく。
はじめに序 個人と社会の相克 社会的ジレンマとはなにか1 合理的な個人が形成する社会は地球温暖化問題を解決できるか? 社会的ジレンマと合理的選択2 環境汚染問題の3つのモデル 社会的ジレンマと集団規模3 環境問題はいかに認知されているか 社会的ジレンマと社会的認知4 社会的ジレンマにおける規範の位置づけ 社会的ジレンマと社会規範5 集団内協力と集団内信頼 社会的ジレンマと一般交換システム6 社会関係資本の光と影 社会的ジレンマと社会関係資本7 景観という公共性 社会的ジレンマと正当性8 ローカル・ガバナンスによる問題解決 社会的ジレンマと地域社会9 年金における私的利害と公共性 社会的ジレンマと制度10 社会的ジレンマの解決のメカニズム 「構造的解決」と「個人的解決」という視点から終 個人と社会の共存へ向けて 社会的ジレンマ・アプローチの可能性索 引