アメリカ外交の逸脱に憂慮の念を示す歴史的事例や対外関係の問題点を探りながら、アメリカ「帝国」の特質を浮かび上がらせる。ジョージ・W・ブッシュ政権の発足以来、アメリカ外交を語る際に「帝国」という言葉がさかんに流布されるようになった。しかし、それがかえって合衆国の対外行動を正しく理解することを難しくしている。本書は、著名な歴史家が一堂に会して行われた討論集会の結晶である。世界的な広い視座から時間と空間の両面においてとらえ直す一方、「帝国」を支えるいくつかの大前提にもメスを入れ批判的に吟味している。そして、イラク戦争は「アメリカ帝国」の抱える諸問題の氷山の一角にすぎないと主張する。その意味で本書は、イラク戦争の性格格付けとその歴史的位置、さらには近年の合衆国の対外行動とその論理を考えるうえで、日本の読者にとっても時宜を得た啓蒙書となっている。
序文謝辞序 アメリカは帝国か?第 I 部 文脈1 絶頂期に立ち会って2 帝国の言葉3 戦争を知らせる太鼓第 II 部 変容した関係4 アメリカのヘゲモニーとヨーロッパの自立性、一九八九~二〇〇三年5 反米主義と反欧州主義第 III 部 類比6 イラクはニカラグアのようなアラブ国家ではない7 文明化の使命に基づく進展?8 占領9 「帝国再来の」時期の日本とアメリカ第 IV 部 未来10 前進、リベラル兵士?11 きわめて興味深い帝国解説 『アメリカ帝国とは何か』訳者あとがき索 引