衰退はジェントルマンの美学か…現代イギリスを巡る知識人の言説を比較し、衰退を「歴史学」の視点から位置づける一冊。イギリスは衰退したのか? イメージとしての衰退と実際の経済発展とのギャップは何故生じたのか? ジェントルマン資本主義、帝国の終焉、グローバリゼイション、教育、文化など、さまざまな切り口から気鋭の研究者・ジャーナリストがイギリス衰退論争について語る。サッチャーの改革、ブレアの「第三の道」が持つ意味について、大きな示唆を与える一冊である。(原著:Rethinking British Decline, Richard English and Michael Kenny [eds], Macmillan Press, 2000)
はじめに寄稿者紹介 I イギリスの衰退とは何か1 イギリス衰退論の諸相2 経済衰退を生んだジェントルマン文化3 逃したチャンス/教養主義と帝国の弊害4 シティの短期主義に毒された三流国5 「衰退」は共同幻想である6 ものづくり蔑視が生んだ工業の衰退7 サッチャー改革は不徹底である8 国民的アイデンティティの動揺9 開発を推進しない国家10 衰退論は世紀末の集団幻想である II 衰退論の分析11 党派イデオロギーと国民の衰退12 相対的衰退への制度的アプローチ13 イギリスの衰退とヨーロッパ統合14 グローバリゼイションとイギリスの衰退15 帝国の終焉16 結 論訳者解説「イギリス衰退せず」文献案内/注/索引