首長依存型でない住民・職員協働の学びによる自治体の自立をめざす実践の数々を描き,これからの確かな地域づくりの筋道を提起する。大規模合併は,自治体を住民から遠いものにした。「地方分権」政策のもとですすんでいるのは,実は,くらしを守る砦の解体であり住民自治の形骸化である。この流れに抗して,人びとのくらしを守りぬく力は,住民と自治体職員が共に励まし合い学び合う中で形成される。本書は,こうした展望を創り出している協働の地域づくりの実践を取り上げ,住民と職員が本物の自治の主体に育っていく姿を明らかにしている。このような学習活動は,食糧,エネルギー,環境,平和の危機をもたらすグローバリゼーションと対決できる地域づくりの確かな保障でもある。
序 自治と自立を築く学び1 住民の協働ですすめる地域・自治体づくり 福島県飯舘村2 自治に根ざす生活基盤づくりと村の自立 長野県栄村3 学びで自立の道を拓く山村の底力 長野県喬木村4 学びあいの文化をつくる市民・職員のネットワーク 埼玉県所沢市5 自治体自立に果たす自治体労働者の役割と力量形成 高知県四万十市終 学びあう住民と自治体労働者の関係を求めてあとがき