近代日本メディア人物誌 創始者・経営者編
日本のメディアを創った人物の群像奔放に、激動の時代を駆け抜けた気骨の経営者たち。彼らの半生を描き出し、今日のメディアの源流を探る。本書は、近代日本におけるメディアの歴史を経営者、とくに創始者から読み解くことを目指している。時代の流れの中で悪戦苦闘しながら、自ら時代と向き合い、切り開いていった経営者たち。彼らの歩みは日本のメディアの歴史を、さらには日本近代史そのものを物語っている。メディアとは人である。そのことを、本書は明確に示している。
第Ⅰ部 黎明期のメディアを創った人々
第1章 岸田吟香――幕末に新聞雑誌を創刊、日本初の従軍記者
第2章 ジョン・レディ・ブラック――開化日本を報じた英国人ジャーナリスト
第3章 福地桜痴――世論の風潮を顧ずして往進すべし
第4章 仮名垣魯文――軽妙な文体とゴシップで庶民を新聞に親しませた戯作者
第5章 福沢諭吉――「日本一の時事新報」の盛衰
第6章 矢野龍渓――『郵便報知新聞』で新聞大衆化を断行
第7章 村山龍平――『朝日新聞』を全国紙に育てた経営者
第8章 黒岩涙香――スキャンダル報道で読者をつかむ
第9章 徳富蘇峰――明治・大正・昭和三つの時代をリードした新聞記者
第10章 陸 羯南――孤高の新聞記者
第11章 秋山定輔――利益と言うよりは寧ろ一人でも余計に読んで貰う
第12章 本山彦一――新聞紙も一種の商品なり
第13章 瀬木博尚――活字文化を支えた広告人
第14章 光永星郎――世界の電通の創業者
第Ⅱ部 メディアの変革を主導した人々
第1章 大橋新太郎――「博文館王国」を築いた出版人
第2章 佐藤義亮
――文学出版社・新潮社の創立者にして近代文学史のプロデューサー
第3章 羽仁もと子――生活への着目から『婦人之友』へ
第4章 嶋中雄作――読者は単なる商品の顧客とは違ふ
第5章 山本実彦――「出版界の四天王」の栄光と挫折
第6章 菊池 寛――生活第一,芸術第二
第7章 野間清治――「雑誌王」の立身出世主義
第8章 岩波茂雄――出版の理想を求めて
第9章 小林一三――「大衆本位」「家庭本位」を貫いた異色の実業家
第10章 下中弥三郎――出版は教育である
第11章 岩永裕吉――通信社の基礎を築く
第12章 正力松太郎――読売新聞・日本テレビの総帥
第13章 前田久吉――『大阪新聞』『産経新聞』の創立者
第14章 今道潤三――俗番組に徹せよ
第15章 前田義徳――NHK中興の祖
〈コラム〉
ジョセフ・ヒコ(浜田彦蔵)――数奇な運命のもと最初の日本語新聞を発行
柳川春三――会訳社を組織し『中外新聞』を創刊した多才な先覚者
成島柳北――『朝野新聞』を主宰、文人ジャーナリストとして世情を風刺
大島宇吉と小山松寿――『中日新聞』の祖
堺利彦――週刊『平民新聞』
平塚らいてう(平塚明)――『青踏』をめぐって
増田義一と『実業之日本』――野依秀市との併置から見えること
年 表
人名索引
事項索引