障害児保育の理論と実践 インクルーシブ保育の実現に向けて
保育士などの保育専門職に求められる知識・理論と実践スキルについて解説
「インクルーシブ保育」とは1人の子どもも排除せず、子どもの育ち合いを大切にする保育のことであり、本書は、保育士をはじめとする保育専門職とそれを志す人々が、「インクルーシブ保育」について理解を深めてもらうことを目的として編集されたものである。2008年に改定された「保育所保育指針」を踏まえ、障害児と共に育ち合う実践を創造するためには、どのような点に配慮して取り組む必要があるのかについて中心に解説し、また、保護者等への支援についても言及した内容となっている。
さらに、各章末にテーマに即したコラム・読者のための参考図書を付し、随所にスウェーデンの障害児保育・教育に関するコラムも掲載している。
序 章 インクルーシブ保育の理論と実践
1)インクルージョンとは
2)インクルーシブな保育・教育を
3)連動する4つの手だて
4)日々の保育実践の見直し
5)インクルーシブ保育から保育全体を問い直す
第Ⅰ部 理論編
第1章 障害の概念ととらえ方
1)保育の中の「障害」を考えるにあたって
2)障害者・児をどのように見てきたか
3)障害の概念と定義--障害の考え方
4)障害児保育実践に携わる人の障害観の確立に向けて
コラム/合理的な配慮と差別
第2章 障害の特性理解と配慮
1)身体障害
2)知的・情緒的障害
コラム/家族システム看護
第3章 障害児の生活理解に求められる視点
1)障害児保育の現状
2)生活を考える
3)保育者の視点--障害児の生活のしづらさをとらえる
4)障害児の理解から支援に向けて
コラム/理解は経験から考えることで始まる――障害児に関わって
第4章 障害児保育に関する理念と動向
1)障害児保育に関する基本理念と今日的意義
2)障害児保育に関する権利宣言・条約--基本理念と意義
3)わが国における障害児保育に関する理念の動向
コラム/東京ディズニーランドから障害児保育のあり方を学ぶ!?
第5章 障害児保育に関する法・制度
1)障害児保育の範囲
2)障害児保育制度(特別保育事業)、関連法規・制度
3)障害児保育に関わる諸機関・施設
4)経済的支援、手帳制度、母子保健サービスなど
コラム/地方行政と福祉政策
スウェーデンの障害児保育・教育(1)“就学前教育”制度
第Ⅱ部 実践編
第6章 障害児保育の実際――保育所にみる実践から
1)障害児保育の実践
2)入所時の配慮
3)保育における育ち――発達の観点と育ちあう視点
4)保育所における1日の具体的流れ
5)保育計画・記録・評価とケースカンファレンス
6)環境整備
7)保育士等の配置と関わり方
8)連 携
9)障害児を含むクラスづくり
10)障害児保育から健常児を含む普通の保育への気づき
コラム/みんな悩んで大きくなる
スウェーデンの障害児保育・教育(2)多重障害児のためのスレンダン就学前学校
第7章 保育所における保護者との連携
1)保育士としての基本姿勢
2)保護者を理解する
3)保育士に求められる姿勢--障害児を共に育てる
コラム/「保護者を支える」とは
スウェーデンの障害児保育・教育(3)特別クラスのあるガムレビィプラン就学前学校
第8章 障害児保育実践における関係機関との連携
――ネットワークとその重要性
1)障害児の支援体制と障害児保育の役割
2)関係機関との連携に求められる視点
3)保育所から見た外部の関係機関との連携
4)小学校との連携
5)その他の機関との連携--地域社会とのつながりと生活
コラム/5歳児健診
スウェーデンの障害児保育・教育(4)手話も母語教育--ビョルクバッカ就学前学校
おわりに
索 引