ローカル・コモンズの可能性 自治と環境の新たな関係
生活世界における公共性の意義と実践
ローカル・コモンズに密着した調査に基づきその内部と外部の望ましい関係を探求する
時空を超えて日々のくらしの場を席巻するグローバリゼーション下の21世紀。本書は各地域の現場で得られた知見をもとに現在の「行き過ぎた」状況を是正する戦略として「コモンズ=共的で協的な世界」を軸とする「協治」と「抵抗」の補完戦略を提示する。山野海川の各現場から醸成されるコモンズの公共性の意義をすくいとり、望ましい環境ガバナンスの方向性を探る。今まさにネットワークが広がりつつあるコモンズ研究の発展、実践に資する書。
序 章 グローバル時代のなかのローカル・コモンズ論
第Ⅰ部 コモンズのもつ公共性
第1章 地方行政の広域化と財産区
――愛知県稲武地区の事例
第2章 里道が担う共的領域
――地域資源としてのフットパスの可能性
第3章 万人権による自然資源利用
――ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの事例を基に
第Ⅱ部 グローバル時代におけるローカル・コモンズの戦略
第4章 ボルネオ焼畑民の生業戦略
――ラタンからゴムへ、そしてアブラヤシへ?
第5章 「緩やかな産業化」とコモンズ
――大規模アブラヤシ農園開発に代わる地域発展戦略の形
第6章 政策はなぜ実施されたのか
――フィリピンの森林管理における連携
第7章 「共的で協的」な野生動物保全を求めて
――ケニアの「コミュニティ主体の保全」から考える
終 章 実践指針としてのコモンズ論
――協治と抵抗の補完戦略
資料編
概説 コモンズ論の系譜
日本のコモンズ論の系譜図
海外のコモンズ論の系譜表
日本の山野海川に関する年表
リーディングリスト
「協治」論の新展開:あとがきに代えて
索 引