斎藤喜博教育思想の研究
群馬県南端の小さな学校の校長となり、以降、「島小教育」の名で教育史に残る実践を展開した斎藤喜博。本書では、「横口・介入授業」「子どもの可能性」や「ゆさぶり」といった言葉や授業実践にみられる斎藤の教育思想、およびその変遷過程と実践について、前半生を振り返りながら歴史的にたどり、その特質と意義を考察する。
凡 例
序 論
第1章 先行研究の系譜と傾向
1)斎藤の短歌に関する研究
2)斎藤の授業論、教育論および教育実践に関する研究
3)斎藤の教育思想、教育実践の形成過程に関する研究
4)そのほかの研究
第2章 本研究の立場と方法
1)研究の立場と方法の自覚
2)教育思想の変遷への着目
第1部 斎藤喜博教育思想の基底としての前半生
第1章 斎藤喜博の誕生――彼を取り巻く風土
1)地理的風土
2)文化的風土
第2章 家族からの影響
1)祖父からの影響
2)父からの影響
3)母からの影響
4)兄弟姉妹からの影響
第3章 〈子ども期〉の斎藤喜博
1)おとなしい子ども
2)少しずつの変化
第4章 〈青年期〉の斎藤喜博(Ⅰ)――師範学校時代
1)寄宿舎生活
2)反骨精神
第5章 〈青年期〉の斎藤喜博(Ⅱ)――玉村尋常高等小学校赴任時
1)群馬県下における大正新教育思想の受容と衰退
2)玉村小学校の前史と宮川静一郎校長就任
3)宮川静一郎校長と斎藤喜博の出会い
第2部 斎藤喜博教育思想の変遷
第1章 〈初期〉斎藤喜博の教育思想
1)思想の自覚化
2)〈初期〉教育思想の生成
3)〈初期〉教育思想の確立とそこに潜在する人間観・教育観
第2章 〈中期〉斎藤喜博の教育思想
1)〈初期〉の終焉
2)〈中期〉教育思想の生成
3)〈中期〉教育思想の確立とそこに潜在する人間観・教育観
第3章 〈後期〉斎藤喜博の教育思想
1)〈中期〉の終焉
2)〈後期〉教育思想の生成
3)〈後期〉教育思想の確立とそこに潜在する人間観・教育観
第3部 斎藤喜博教育思想の特質と意義
第1章 教育における〈事実主義〉について
1)〈初期〉斎藤喜博における〈事実主義〉
2)〈後期〉斎藤喜博における〈事実主義〉
第2章 〈後期〉斎藤喜博の教育思想における変革志向的性格
1)固定化された到達点の否定
2)斎藤喜博における理論・実践関係の捉え方
第3章 〈無限の可能性〉再考
1)〈無限の可能性〉に対する批判的見解
2)斎藤喜博における〈無限の可能性〉
むすびにかえて
1)前半生と思想との根底でのつながり
2)〈初期〉から〈後期〉への変遷の歴史的意義
3)〈後期〉斎藤の教育思想の現代的意義
主要参考文献一覧/索引