島地黙雷伝 剣を帯した異端の聖
『維摩経』の一節、「維摩の一黙、雷の如し」から自らを黙雷と名づけ、幕末・明治という激動の時代に活躍した本願寺の僧、島地黙雷(しまじもくらい)。吉田松陰、月性に影響を受けた。黙雷は岩倉使節団の一員として木戸孝允、伊東博文らとともに欧州を視察、その際日本人として初めてエルサレムのキリスト誕生の地を訪れ、またインドで釈尊の仏跡を礼拝した。そして、その経験をもとに政教分離、信教の自由の道を切り開いた。。
本書では当時、廃仏毀釈で虫の息となっていた仏教の再生に尽力し、女子教育、監獄教誨や軍隊布教にも努めた異端の聖、島地黙雷の生涯を負う。
序 幕末・明治の維摩
第一章 出 自
1 峠の専照寺
2 十二歳の作『御法度伊呂波具ど木』
3 養子で入寺
第二章 萩の城下
1 苦手な法談
2 非常の出奔
第三章 遊 学
1 辛苦の肥後遊学
2 遊学と離縁
3 連城と対論
第四章 僧侶と武
1 武事に関せず
2 剣を帯して
3 風儀改正
第五章 廃仏毀釈
1 復古と維新
2 廃仏毀釈の嵐
第六章 外遊と聖地
1 欧州政教見聞
2 信教の自由
3 布教の諸相
第七章 僧侶の争い
1 宗門クーデター
2 天皇と法王
第八章 家庭と教育
1 女子教育ほか
2 島地家の子女たち
3 邪宗と入信
第九章 奥羽の黙雷
1 同胞とデモクラシー
2 岩手願教寺での荘子講和
終 宗祖に立ち帰れ
参考史料・文献一覧
あとがき
島地黙雷略年譜
人名索引