近代イギリスの歴史 16世紀から現代まで
イギリス近現代史の最前線
本書は、イギリスとは何か、という問いに始まり、クロノロジカルにイギリス史の構造を描き出す第Ⅰ部、イギリス近現代史に関わる重要なトピックを扱う第Ⅱ部の二部構成からなる。16世紀から21世紀初頭の現在に至るまでのイギリスの歴史を最新の研究成果をふまえて通観する、待望のテキスト。
第Ⅰ部 近現代イギリスの軌跡
第1章 前近代のイギリス(鶴島博和)
1 イギリスとは何か
2 ヨーロッパにおけるイギリスの位置
3 王権と統治構造
4 教会の構造
5 経済構造
6 帝国的構造
コラムⅠ 海からの中世イギリス史
第2章 近代イギリスの出発(西川杉子)
1 宗教改革前夜のイングランド
2 宗教改革の衝撃
3 エリザベスの治世
4 ブリテンの宗教戦争
5 名誉革命
コラムⅡ ユグノー・ディアスポラとイングランド
第3章 名誉革命体制と帝国の再編(坂下 史)
1 革命防衛と大西洋世界
2 大西洋帝国と議会王政
3 敗北の痛手、革命の衝撃
4 「洗練され商売上手な人々」の世界
コラムⅢ コーヒーハウス―虚像と実像
第4章 貴族政治の黄金時代(君塚直隆)
1 「世界大国」イギリスの確立
2 貴族政治と改革の時代
3 大衆民主政治の萌芽期
4 パクス・ブリタニカの光と陰
5 世界帝国への道
コラムⅣ 改革の時代のイギリス王室
第5章 帝国主義の時代(秋田 茂)
1 グローバル化の進展とジェントルマン資本主義
2 自由主義の破綻とアイルランド問題
3 南アフリカ戦争の波紋
4 「社会帝国主義」と大衆社会の萌芽
5 ヘゲモニー国家イギリスと世紀転換期の国際秩序
コラムⅤ 「駒形丸事件」とイギリス帝国臣民
第6章 世界大戦と大恐慌の時代(松永友有)
1 第一次世界大戦と帝国支配の動揺
2 1920年代不況とイギリス政治の変容
3 世界恐慌の衝撃
4 大戦間期のイギリス外交
5 第二次世界大戦下のイギリス
コラムⅥ 大戦間期のイギリス政治における君主
第7章 戦後社会の模索(市橋秀夫)
1 英雄にふさわしい国
2 「豊かな時代」の到来
3 「白熱」のなかのイギリス
4 混迷と模索
コラムⅦ イギリスにおける死刑制度の廃止
第8章 グローバル化のなかのイギリス(木畑洋一)
1 「鉄の女」の登場
2 サッチャリズムの展開
3 変容するヨーロッパのなかで
4 ブレア政権の盛衰
5 イギリスの現状
コラムⅧ[ 反骨の映画監督ケン・ローチ
第Ⅱ部 テーマから探るイギリス近現代史
第9章 日英150年の政治外交関係(後藤春美)
1 幕末から明治時代
2 日英同盟の時代
3 日英両国の衝突
4 和解の努力から普通の二国関係へ
第10章 「三つのサークル」のなかのイギリス(小川浩之)
1 イギリス対外政策と「三つのサークル」
2 戦後イギリス対外政策の展開
3 「三つのサークル」から「米欧間の架け橋」
第11章 近現代のイギリスと移民(浜井祐三子)
1 近現代イギリスの「多民族化」と移民政策の変遷
2 戦後移民の社会統合
3 「多民族国家」イギリスのゆくえ
コラムⅨ イーノック・パウエルと血の川演説
第12章 連合王国成立以後のアイルランド(高神信一)
1 連合王国の一部として
2 アイルランド独立へ
3 アイルランド共和国と北アイルランド
第13章 「権利の要求」とスコットランド近現代(富田理恵)
1 1689年の「権利の要求」と17世紀の革命
2 1842年の「権利の要求」と教会分裂
3 1988~89年の「権利の要求」と自治議会の成立
第14章 ジェンダーの20世紀(奥田伸子)
1 家族・仕事・消費の多様化
2 「多民族」・「多文化」社会イギリスと移民女性
3 セクシュアリティの多様化
コラムⅩ フェミニスト1950年代スタイル―M・サッチャー
第15章 都市建設のビジョンとシステム(長谷川淳一)
1 工業化と都市建設のビジョンの展開
2 福祉国家建設と国土再建
3 規制・介入基調からの脱却のゆくえ
第16章 社会思想のあゆみ(光永雅明)
1 自由主義の台頭
2 社会主義と保守主義の展開
3 現代的自由主義への転換
4 第二次世界大戦後の社会思想
あとがき
人名・事項索引