地域における保育臨床相談のあり方 協働的な保育支援をめざして
保育実践や子育て支援を行うなかで、園内だけでの対応ができない問題や課題に直面した際に、地域の専門家とどのような連携や協働が求められるのか、また専門家を園内に受け入れる際に、どのような受け入れ体制を取ることが求められるのかなど、具体的な事例を通して解説する。
第1章 なぜ今,保育臨床相談が求められているのか
第1節 複雑化する子どもと家族
1 生活の変化
2 子どもたちの変化
3 保護者の変化
第2節 多様化する保育現場
1 長時間化する保育時間
2 待機児対策と低年齢児保育
3 子育て支援施策の展開
4 保育者の現状
第3節 園生活で保育者が直面すること
1 保育現場,保育者に求められていること
2 子どもたちを巡って
3 保護者を巡って
4 保育者を巡って
5 子育て支援を巡って
6 問題を見極める––地域との協働・連携
第4節 保育の質を高めていくために
1 保育の質とは何か
2 保育の質を高めていくにはどうするか
3 地域の専門家と協働して取り組む保育
――保育の質の向上へ
第5節 今,求められている保育臨床相談の姿
1 保育の現状
2 園と地域の専門機関との連携の模索
3 今,求められている保育臨床相談の姿
第2章 園として保育臨床相談にどのように取り組んでいくか
第1節 一人ひとりを支えるために
1 子どものさまざまな課題を受け止める保育者の存在
2 気になる子どもとの出会い
3 気になる子どもを巡る保護者の見方との違い
4 特別な支援を必要とする子どもの保育
5 保育者を支える園の体制
6 一人ひとりを支えるために必要な周囲の保護者の理解
第2節 保育臨床相談に臨む保育者の姿勢
1 保育者の果たす役割と範囲
2 保育に臨む保育者の基本的な姿勢
3 地域の専門家と協働することと保育者の専門性の向上
第3節 事例をみんなで読み解いていく
1 日頃の保育記録をベースにする
2 保育カンファレンスを行う
3 何が問題なのかを見極める
4 問題の方向性を検討する
5 課題を吟味しながら継続的に取り組む
第4節 園長や主任のリーダーシップと園全体の体制づくり
1 担任・担当者だけの問題にしない
2 保育者間で問題を共有していく
3 何が問題で園全体としてどう取り組むかを検討する
4 それぞれの役割を自覚し園全体の協力体制をつくる
第5節 保育臨床をコーディネートする人の意義と役割
1 担任一人が問題を抱えていかないように
2 担任と保護者がうまく連携できるように
3 担任と支援員がうまく協働できるように
4 保育者と地域の専門家との中継ぎ役
5 園と地域の専門機関とが協働するように
第3章 地域の専門家が園と協働していくために
第1節 地域の専門家とは
1 保育関連機関
2 教育関連機関
3 保健関連機関
4 医療・療育関連機関
5 福祉関連機関
第2節 保育現場の課題と支援
1 子どもの実態がわかりにくい
2 保護者への支援の悩み
3 保育者間の連携の悩み
4 保育環境・クラス運営についての悩み
5 地域の親子への支援の悩み
6 地域の関係機関との連携の悩み
第3節 保育現場を支援するには
1 保育臨床相談の多様性と課題
2 多様な保育臨床相談のあり方
3 保育の総合性を大事にする
4 その園の土壌を大事にする
第4節 協働的関係が成立していくために
1 これまでの保育臨床相談を振り返る
2 保育臨床相談で専門家が陥りやすい問題
3 保育現場との信頼関係
4 保育の特性を理解し支援する
5 相互に理解する
6 保護者への支援の取り組み方について相談する
第5節 ニーズに基づいてアセスメントするとは
1 保育現場の相談ニーズ
2 保育現場の支援ニーズ
3 保育支援における協働作業としてのアセスメント
4 アセスメントから保育支援へ
第6節 保育を支援する視点
1 子どもを支える
2 保育者を支える
3 家族を支える
4 地域資源を活用する
第4章 地域の実情に応じた協働的実践
第1節 地域の巡回相談で協働していく
1 保育所での巡回保育相談
2 保育士と巡回相談員との連携
第2節 地域の園で協働していく
1 キンダーカウンセラー事業の導入
2 保育カウンセラーの導入
3 園独自の取り組みを地域に拡げる
第3節 地域の療育機関等と協働していく
1 地域の療育センターや専門家との協働
2 多くの専門家が事例を見ることの意味
第4節 地域の保育研究会等を活用し協働していく
1 地域の保育者研究会
2 園のなかで孤立している保育者
3 小児科クリニックを中心とした研究会
第5節 地域の子育て支援制度を活用し協働していく
1 園内に「子育てサロン」を開設して
――地域の保健所との連携
2 地域子育て支援拠点における特設ひろばの取り組み
おわりに