国際政治経済を学ぶ 多極化と新しい国際秩序
20年間続いたアメリカの一極支配が終焉し、中国やインドの経済的台頭も著しい。このような多極化が進めば必然的に世界政治は不安定になる。これまでの西側の指導的な理念は今後も維持されるのか。世界政治経済の基本的な理念は、今後どう形成されていくのか。本書は世界秩序の行方を分かりやすい文章で解説する。
序 章 国際秩序をめぐる政治と経済
1 はじめに
2 1930年代の世界大恐慌と国際秩序
3 パワーの分散と「アメリカ後の世界」
4 経済のパワーシフト
5 多極の世界と無極の世界
6 国家と市場の関係
7 おわりに
第Ⅰ部 金融危機とその後の世界
第1章 サブプライム・ローン危機とアメリカ経済の課題
1 はじめに
2 金融危機後のアメリカ経済の概況
3 米国発のサブプライム・ローン危機とは
4 アメリカの経済政策の基本的特徴
5 アメリカの経済構造における問題と政策課題
6 おわりに
第2章 拡大する欧州連合(EU)―27か国、5億人の世界
1 はじめに
2 ギリシャと欧州の経済危機
3 ユーロ危機と各国の対応
4 欧州の歴史とEU誕生の背景
5 加盟国の拡大とユーロの未来
6 当地の方向性と課題
7 おわりに
第3章 独自モデルを模索し始めた中国の経済と社会
1 はじめに―世界的に注目される存在となった中国経済
2 毛沢東時代と?小平時代の比較
3 「先富論」から「共同富裕論」へ
4 国際金融危機の試練と対策
5 「中国モデル」の意義と制約要因
6 中間層の台頭と中国政治社会の新しい変化
7 おわりに―政治民主化の展望
第4章 日本経済再建への課題
1 はじめに
2 地盤沈下の日本経済
3 元気だった頃の日本
4 失われた20年
5 世界金融危機と日本の景気悪化
6 政権交代後の日本
7 日本経済の課題
8 おわりに―日本経済の世界への貢献
第Ⅱ部 グローバリゼーションの諸相
第5章 グローバリゼーションの過去と現在
1 はじめに
2 経済のグローバル化とは
3 グローバル化進展の背景
4 現在のグローバル化とその推進主体
5 おわりに―グローバル化の進展とベネフィット、リスク
第6章 グローバル化と経済格差
1 はじめに
2 経済格差を表す指標とその読み取り
3 経済のグローバル化と国内格差の関係
4 おわりに―グローバル化時代に求められる政府の役割
第7章 中国企業の制度改革と発展
1 はじめに
2 中国の企業改革の出発点
3 改革開放の実験段階(1970年代末~80年代前半)
4 改革開放の範囲の拡大(1980年代中頃~90年代初め頃)
5 改革開放の飛躍的進歩(1990年代初め頃~21世紀初め頃)
6 市場経済化へのさらなる邁進(21世紀以後)
7 おわりに―中国企業の改革と発展の成果
第Ⅲ部 国際レジームの動態
第8章 戦後の国際経済レジームの枠組みとその課題
1 はじめに
2 戦後の国際経済レジームの起点
3 ガット体制・IMF体制の原則と基本的機能
4 ガット体制の変遷
5 IMF体制の変遷
6 戦後の国際経済レジームの課題
7 おわりに
第9章 安全保障と軍事
1 はじめに
2 安全保障とは何か
3 国家の安全保障
4 20世紀の軍事とその時代区分
5 朝鮮戦争・ベトナム戦争がもたらしたもの
6 20世紀後半から21世紀を洞察する
7 日本独自の問題点とその解決
8 おわりに
第10章 環境レジーム―京都議定書の採択に見るレジーム形成過程
1 はじめに―問題の設定と分析枠組
2 国際政治上の争点としての環境問題
3 環境レジームの形成―気候変動レジームを中心に
4 気候変動をめぐる国際政治
5 レジームからガバナンスへ
6 おわりに―ポスト京都議定書の模索
第Ⅵ部 新たな世界秩序の構築
第11章 国際金融秩序の展望
1 はじめに
2 国際金融秩序の原点回帰
3 ニクソン・ショックと過剰流動性
4 新たな国際政治アジェンダとしての地球環境問題
5 地球環境本位制と炭素通貨の誕生
6 世界炭素通貨と世界環境銀行
7 おわりに
第12章 NGOとグローバル・ガバナンス
1 はじめに
2 NGOの名称の由来
3 市民運動の先進国と日本の比較
4 日本における本格的なNGO登場
5 企業の社会的責任(CSR)からみたNGO
6 フェアトレード(公正貿易)とはなにか
7 「国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)」の訴えるもの
8 軍縮とNGO
9 おわりに
終 章 世界秩序構築のリーダーシップ
1 はじめに
2 国際連盟創設におけるウィルソンの理想と現実
3 ウィルソンのリーダーシップ
4 ウィルソンのリーダーシップの源泉
5 ブレトンウッズ体制とケインズのリーダーシップ
6 おわりに―歴史の流れに左右される世界秩序構築のリーダー像
索引