格差社会
福祉の最新の動向が一冊で分かるシリーズ
「福祉+α」創刊
「格差社会」という言葉が使われるようになってから十数年が経過し、国民の主要な関心事の一つとなっている。そして政策面においてもこれを是正するために改革が実施されたが、どれだけ有効性を持っているのだろうか。本書では、気鋭の執筆陣が実証データをもとに「格差」に関して様々な角度からアプローチし、現状と課題をあぶりだし、今後取るべき対策を論じる。福祉の視点で世の中を捉えるシリーズ「福祉+α」、ここに創刊。
総 論 格差をどう考えるか(橘木俊詔)
1 格差をどう考えればよいか
2 本書の概要
第1章 地域間格差(浦川邦夫)
――地域住民の生活意識と地域移動
1 地域間格差を考える意味
2 地域間所得格差の推移
3 地域間の人口移動
4 地域住民の視点からみた日本の地域間格差
5 地域住民の格差感と社会・経済指標
6 地域間格差の縮小に向けて
第2章 隠れる女性の見えない貧困(室住眞麻子)
――ワーキングプアと福祉施設で暮らす女性たち
1 隠れる女性の見えない貧困を捉える視点
2 女性のワーキングプアの規模と特徴
3 ハウスレス状態にある女性たち
4 社会福祉施設で暮らす女性たちの状況
5 残された課題
第3章 子どもの格差(阿部 彩)
――生まれた時から背負う不利
1 震災と貧困
2 「子どもの貧困」の発見
3 豊かな社会における貧困とは何か
4 社会経済階層による子どもの格差の現状
5 子どもの貧困に対する政策
6 費用ではなく投資
7 貧困の連鎖を断ち切るために
第4章 働き方による格差(金井 郁)
――パートタイム労働を中心に
1 増加する非正規雇用とその処遇
2 非正社員の基幹労働力化と処遇制度
3 非正社員の組合への加入
4 「日本型均衡処遇ルール」の確立と問題点
5 社会保障・税制度と非正規雇用
6 日本の雇用システムと非正社員
第5章 外国人対日本人(村上英吾)
――欠員補充型受入れと格差・貧困
1 諸外国における外国人の格差と貧困
2 80年代半ば以降の「外国人労働者」の導入過程
3 「不法就労」外国人の格差・貧困
4 日系人労働者と日本人労働者の格差と競合関係
5 外国人研修・技能実習生の格差と貧困
6 滞日外国人の格差と貧困
第6章 障害者と格差社会(勝又幸子)
――複合差別と排除
1 インクルーシブ社会への途
2 障害者が排除される過程
3 障害者と所得格差
4 機会の格差(不平等)
5 インクルーシブ社会の意義
第7章 若年者の格差(太田聰一)
――就職環境の変化と政策的対応
1 若年者の格差をどう見るか
2 若年者を取り巻く就業環境の変化
3 日本企業の行動と若年就業問題
4 若年雇用対策に必要な視点
第8章 高齢期における所得格差と貧困(山田篤裕)
――脆弱なセーフティネットと勤労所得への依存
1 国際比較から見た日本の高齢者の所得分布の特徴
2 就業する年金受給者モデル
3 高齢者における所得格差
4 高齢者における貧困・低所得
5 政策含意
文献案内
索 引