発達135 特集 いま、あらためて「心の理論」を学ぶ
子どもの発達をとらえる上で重要な研究分野の一つである「心の理論」。発達心理学のテーマとしても確固たる地位を築いてきた「心の理論」研究も今年で30年目を迎え、いままさに第二世代に向かっています。子どもの心の発達のしくみを理解するために、また保育の場などで子どもを理解するために、研究が進む中で見えてきた「心の理論」の最前線を追いながら、幅広い視点で考察し、実際の現場にも有益な情報を提供していきます。
[ここがポイント]
・今年30年目の節目を迎え、第二世代に向かう「心の理論」研究の最新の知見を第一線で活躍する研究者たちが紹介。
・「心の理論」の最前線を追いながら、心の発達のしくみをとらえ、保育の場などで子どもを理解していくための幅広い視点を提供する。
総論――いまなぜ「心の理論」を学ぶのか(子安増生)
Ⅰ 心の発達のしくみを理解するために
乳児期の「心の理論」――赤ちゃんはどこまでわかっている?(千住 淳)
幼児期の「心の理論」――心を理解するということが‶問題〟となるとき(木下孝司)
児童期の「心の理論」――大人へとつながる時期の教育的視点をふまえて(林 創)
「心の理論」と表象理解――2~4歳児はどんな心の世界に生きているか(加藤義信)
「心の理論」と実行機能―どのような認知機能が誤信念課題に必要か?(郷式 徹)
Ⅱ 保育の現場で子どもを理解するために
「心の理論」と保育――保育の中の子どもたちにみる心の理解(小川絢子)
「心の理論」と感情理解――子どものコミュニケーションを支える心の発達(溝川 藍)
「心の理論」と教示行為――子どもに教えるのではなく子どもが教える(赤木和重)
Ⅲ 自閉症児を理解するために
自閉症児の「心の理論」――マインド・ブラインドネス仮説とその後の展開(内藤美加)
自閉症児と情動――情動調整の障害と発達(別府 哲)
自閉症と三項関係の発展型としての「心の理論」(熊谷高幸)
【連載】
保育に活かせる文献案内
保育における遊び(汐見稔幸)
ことばとコミュニケーションを科学する
子どものことばの獲得を支える語りかけ(玉川大学赤ちゃんラボ)
人との関係に問題をもつ子どもたち
『ボクがやるんだ!』――他者性に出会い、主体性が芽生えるまで(《発達臨床》研究会)
霊長類の比較発達心理学
チンパンジー研究者、母になる――妊娠・出産から生後3カ月まで(林 美里)
障がいのある子の保育・教育のための教養講座――実践障がい学試論
「姿勢」「情動」の育ちと「自我」の現れ(佐藤 曉)
育つということ――発達臨床のフィールドから
発達における他者 その3 母をめぐるきょうだい間葛藤(山上雅子)
【発達読書室】
著者が語る 『発達心理学の脱構築』(青野篤子)
書籍紹介