辻占の文化史 文字化の進展から見た呪術的心性と遊戯性
古代に夕刻の辻で偶然の言葉を聞き、吉凶を占うものだった辻占は、近世後期に紙面に展開する豊かな占い文句になって展開し、庶民に愛された。一枚刷りから辻占煎餅、双六、かるたに辻占都々逸。欧米で人気のフォーチュンクッキーの起源となった辻占煎餅は、現代では日本で縁起菓子として享受されている。文字になった辻占とは何か、「聞く占い」から「読む占い」へと変容した占いの世界に光を当てた文化史。
[ここがポイント]
◎ 近世に広まった辻占は、近代化とともにどのように変化していったのか。
◎ 辻占をめぐる知られざる歴史。
序 章 辻占とは何か
1 民俗学と辻占研究
2 民俗学・歴史学・国文学における辻占の研究
第一章 辻占と歌占の文字化と交錯
1 歌と呪術性
2 「聞く」から「読む」占いへの変容
3 現代に継承される辻占都々逸
第二章 近世における辻占の展開
1 流行・評判を映す辻占印刷物
2 信仰・俗信・娯楽との関わり
第三章 近代都市と辻占の出版販売
1 赤本大手榎本法令館による出版と販売
2 法令館と大阪の版元による辻占比較
3 信仰・娯楽と辻占販売
第四章 現代における文字化辻占
1 辻占菓子製造元
2 信仰と縁起物・縁起菓子の創製
3 正月習俗と辻占菓子
終 章 辻占の文字化と変容
1 占いの文字化がもたらす変容
2 辻占印刷物の享受者像
3 辻占の歴史的展開
註
参考文献と参考資料
おわりに
人名・事項索引